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ソースネクスト社長 松田憲幸氏に聞く

iPhoneとサポート、2つの新事業に挑むソースネクスト

2010年03月12日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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ソースネクスト的にはiPadアプリは作りやすい?
iPhoneアプリの海外展開も視野に

ASCII.jp:iPadはiPhoneと原則同じアプリが動くとはいえ、ハードウェア自体の違いからユーセージの違いも生じてくると思われます。そうなると、iPhoneとiPadでまったく異なるアプリを求められる可能性もあります。iPhoneとiPadのプラットフォームの違いに対して、どのようにお考えでしょうか。

松田「単純に画面の大小の違いは大きいと思いますが、たぶんiPadのUIの使い勝手は、Kindleなどよりも非常にいいものになるだろうと考えています。例えば『超字幕』で言えば、今回の単語帳だけでなく、映画も含んだフル機能を提供するというアプローチもあります。今のiPhoneでできないわけではないでしょうが、かなり画面が小さくなりますからね」

「当社としては、たぶんiPhoneアプリよりもiPadアプリの方が、今までの蓄積からすれば作りやすいのだろうなとは思います。逆にiPhoneで出すには一工夫が必要です」

ASCII.jp:説明会での予定タイトルの中に「特打」の名前を見た時に、「iPhoneのUIで特打?」と疑問に思いましたが、「iPadで……」と言われると、納得できます。

松田「iPhoneでも面白い『特打』が出せると思いますよ(笑)」

ASCII.jp:iPhoneアプリに乗り出すとなると、海外展開という話も出てくるのではないかと思います。海外での展開についてはどのようにお考えでしょうか。

松田「『最大の狙い』とまでは言いませんが、iPhoneアプリは一番容易に入っていきやすいと考えています。今までは海外で販売すると言っても、例えばダウンロード版でもいろいろな制約がありました。課金の問題から顧客へのリーチなどですね。その点iPhoneは、ある程度売れればその問題を楽にできるという点がいいところですね」

「今はまだ発表できる段階ではありませんが、キラーアプリをどれだけ用意できるか、という点にあると思います。当社としてはキラーアプリを揃えるつもりでおります」

ASCII.jp:App Storeで販売されているアプリケーションは、平均単価が非常に低い状況です。その市場に向けて「アプリケーションを作って売る」ことについては、どのようにお考えでしょうか。

松田「確かに単価は安いと思います。私共も過去に『イチキュッパ』といった低価格戦略をやりました。今から7年くらい前ですね。当時1980円のソフトウェアと言えば、かなり過激な価格で、『1本売って儲けはいくら?』という世界でした。しかし、結局は500万本くらいを販売して100億円を売り上げた実績があります」

「iPhoneアプリは価格が数百円のものがいっぱいありますが、一方でパッケージ販売のパソコンソフトがすごく儲かるのかと言えば、例えば1980円のソフトでは大きな儲けにはなりませんよね。だから数次第。単価の高低よりも『×本数』が多いか少ないかが、問題だと思っています」

「しかしグローバル展開も含めてですが、今後もiPhoneはまだ伸びると思っています。(販売数の)桁がひとつふたつ変わるアプリケーションというのは、十分あり得ると思っています。まだそこに至っていないだけだと」


量販店の声から生まれた有料サポートビジネス

 もう一方の有料サポートサービス「パソコンなんでも相談サービス ほっ!」は、パッケージ商品としてはまったく異色の製品だ。ソースネクスト製品、他社製品を問わず、ハードからソフトまでパソコンにまつわる相談を、365日年中無休(時間は9~24時まで)で相談できるサービス(電話もしくはメールで相談)を3年間提供するというものだ。

 価格は4980円で、回数制限もなければ、問い合わせごとに追加料金を取られたりすることはない。同様のサービスをすでに提供している企業もあるが、サービス価格の安さや幅の広さ、店頭パッケージを買うだけという簡単さは、先行サービスをしのぐものがある。

 サービス単品は10万本限定だが、「ウイルスセキュリティZERO」とバンドルした「ウイルスセキュリティZERO パソコン安心パック」(7980円)は本数を限定せず販売される。発売日は4月2日の予定。パソコンソフトメーカーがなぜこのようなサービスに参入するのだろうか? その理由を聞いてみた。


ASCII.jp:そもそもソースネクストのビジネスとして、なぜこういう製品を手がけようと考えたのでしょうか。

松田「一言で言えば『ニーズがある』ですね。量販店さんは今、こうしたサービスをほぼ無料でやっていて、非常に非効率に思われている。さらにいろいろなものが非常に複雑化していて、ハード・ソフトメーカーはどこもサポートが大変になっている。ところがその大変さのわりに、お客様も満足されていないという状況があります」

「私は全国の量販店を回っている最中でして、すでに200店近くの量販店を回りましたが、皆さん本当に困っていらっしゃいます。『こういうものがあれば、たくさん売るよ』とはっきり言われたほどでした」

「当社の特徴は、あらゆるサービスをパッケージ化してきたことです。だから日本初でこういったものを出してもいいのではないかと考えました。これは店頭を回っていなければ、絶対に思いつきませんでしたね。あまりにも要望が多くて、びっくりしました」

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