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角川会長が語る「クラウド時代と<クール革命>」(前編)

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オプトアウトという考え方をもっと広げたい

── クラウドが起こした所有と利用のパラダイムシフトは、今後著作権ビジネスにも起きていくという考えですか?

角川 今の著作権法はパッケージビジネスを前提とした著作権なんだよね。それがネットみたいな新しいものが登場してきて所有じゃない「利用権」みたいなものをどう判断するかという問題が出てきている。「ビデオの貸与権があるじゃないか」とか、既存の概念にあてはめようとしたって無理なんだよね。


── だからこそ角川さんは著作権法に「オプトアウト」前提のロジックを持ち込みたいと。

角川 オプトアウトという考え方をもっと広げたいんだよね。だからこそコミケやYouTubeを認めたわけだし。

 日本の著作権法はヨーロッパ型の大陸法の影響を強く受けてるんだけど、日本は90年代後半から、文化庁の役人が自動公衆送信権や送信可能化権みたいに大陸法を先鋭化させちゃったんだよね。米国はそういう方向には行かなかった。

 でも、それを文化庁の役人は「米国の著作権法は遅れてる」とか言うわけだよ。「日本の著作権法は世界最高峰の著作権法だ」と。僕から見れば「何が世界最高峰で、何が遅れてるのか」って話なんだけど。

オプトイン、オプトアウト 事前に許諾を取って許可されたもののみ実行するのが「オプトイン」的なやり方。原則自由で、あとからユーザーからの要望に応じて例外を禁止していくのが「オプトアウト」的な手法。



── その考え方はコンテンツホルダーのトップの人としては相当ラジカルですよね。

角川 現実に今、ネットのコンテンツビジネスは米国から来てるわけじゃない。大陸法のやり方では限界もあるし、文化庁の言ってることも非現実的になりつつあります。米国は何歩も先に行ってビジネスしてるのに、何で今の日本の著作権法を金科玉条のようにあがめてるのかっていうね。

 悔しいけど、ネットのコンテンツビジネスは米国がスタンダードなんだよ。だから米国スタンダードのフェアユースも日本で取り入れるしかない。フェアユースを取り入れることで日本が負けると考えてることが負け犬的発想というか、「悔しくない?」って言いたいね。


── 法制度や仕組みの部分で米国と日本は同じ土俵に立ててないですからね。

角川 そうなんだよ。21世紀になって20世紀では不思議に思わなかったことがどんどんおかしなことになってる。今、著作権法だけでなくて、いろいろな法律がネットに対応したものに書き換えないといけなくなってきてるわけ。次の時代は国内法の見直しということが重要なテーマになるんだと思うよ。


── 次の時代への転換点を角川さんは2014年と位置づけていますが、そこに向かうまであと4年しかありませんね。大転換点に追いつく前に法律を変えようといっても、「審議会で慎重に議論しよう」とか言ってるとまったく間に合う気がしませんが……。

角川 だから本の形で出した部分もあるね。僕たちが単に意見を言ってもなかなか通らないけど、本は固定されて交換されることで、意見がパブリックになっていく。それが僕にとってはプレッシャーになったことも確かなんだけど、でもそのプレッシャーを乗り越えてでも、今このタイミングでこの本を出しておきたいとそういう強い思いがあったんだ。

※後編はこちら


筆者紹介──津田大介


インターネットやビジネス誌を中心に、幅広いジャンルの記事を執筆するメディアジャーナリスト。音楽配信、ファイル交換ソフト、 CCCDなどのデジタル著作権問題などに造詣が深い。「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」や「インターネット先進ユーザーの会」(MiAU)といった団体の発起人としても知られる。近著は「Twitter社会論」(洋泉社、Amazon.co.jpで見る)。自身のTwitter IDは「@tsuda」、ウェブサイトは「音楽配信メモ」。




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