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新生活に選ぶこの製品、このサービス 第5回

ハイビジョン動画を無線で楽しむ

Aterm WR8700N──速度で選ぶブロードバンドルータ

2010年03月19日 09時00分更新

文● 遠藤哲

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動画を自宅のさまざまな場所で、TVモードの意味とは?

 WR8700Nイーサネットコンバータセットは、まさにTVモードを実現するためのセット商品である。

 最近は「ひかりTV」、「アクトビラ」、「NHKオンデマンド」というように、インターネットの映像配信サービスが立ち上がってきている。「NHKオンデマンド」などは放送した翌日から見逃した番組を視聴できるサービスも提供しており、最近人気の「大河ドラマ 龍馬伝」など見逃した場合に重宝する。ネット経由の映像配信サービスは便利なだけではなく、テレビの視聴のスタイルをテレビ番組のスケジュールにあわせることから、自分の都合に合わせるように変えていくだろう。

 WR8700Nイーサネットコンバータセットはこの変化に対して、実にタイミング良く登場した。WR8700N(親機)はブロードバンドモデムと接続し、イーサネットコンバータのWL300NE-AG(子機)はテレビとレコーダ、あるいはテレビとゲーム機を接続する。親機と子機の間を無線LANで接続する。

 最近耳にすることが多くなったDLNA対応のテレビ、レコーダ、NAS、ゲーム機を接続すれば、レコーダあるいはNASに保存した放送の録画やダウンロードした動画や音楽を、テレビ、ゲーム機、パソコンなどのDLNAクライアントと呼ばれる機器から自由にアクセスして再生することができる。

これは快適、DLNAとWR8700N

 今回のレビュー企画に便乗して、自宅のPS3とHDDレコーダーの接続も試みてみた。昨年秋にDTCP-IP対応のBDレコーダーとPS3を一挙に購入し、DLNAデビューを試みたが、自宅の無線LAN環境はアクセスポイントもPS3内蔵のアダプターも最大54Mbpsの11g。実効では半分の速度も出ないので、24MbpsのBSデジタル放送を流すと激しくコマ落ちする。今まではケーブルの取り回しが不便な有線LANでしか、DLNAを楽しめなかったのだ。

PS3。DLNAクライアント機能搭載で、離れた場所にあるBDレコーダーやパソコンに記録した動画や音楽を視聴できる

 自宅の間取りは4DKで、寝室兼仕事場の自室は洋室8畳。ここにはBSデジタル/110度CS用のアンテナが引き込んであって、BDレコーダーが置いてある。間に2畳ほどの物置きを隔てて、家族共用の居間(和室6畳×2部屋)がある。こちらの部屋にも家族共用のテレビがある。とはいえ、地上デジタルのアンテナしかないので、BSデジタル放送は観られない。

 自分の部屋だけで衛星放送を受信していることに対して、家族からいわれのない抗議を受けていた。とはいえ、私も食事しながら、録画したBSデジタルの映画やスポーツ、音楽番組を観たりしたいので、DLNA導入に踏み切ったわけだ。

 そうはいっても有線の呪縛というのは、やはり不便だ。10年近く前に近所の電気店に頼み、壁と天井にEthernetのケーブルを這わせてもらったため、どの部屋でも有線LANを使える環境にあるが、各部屋にハブを置き、何台もあるネットワーク対応機器をつなぐと部屋の中はケーブルでぐちゃぐちゃになる。自室は絶対不可侵領域なので文句は言わせないが、居間はそうも行かない。11nが正式対応したこともあり、そろそろ家全体を無線LAN化すべき……と思っていたところに、WR8700Nが登場となった。素晴らしい。

DIGA DMR-BW870。最近ではDLNAサーバー機能に加え、著作権保護付きの動画コンテンツをネットワーク越しに観られるDTCP-IPに対応する製品も増えてきた。

 本文で述べているように、WR8700Nはハイビジョン動画の伝送を強く意識した製品である。まさに私のニーズとピッタリだ。

 では、その実力はどうか? まずは2.4GHzでDLNAを体験。これって無線LANなのと思えるほど快適に動画が再生できる。11gではSDのスカパー!e2はなんとか視聴出来るものの、地デジになると比較的ビットレートの低いアニメですら2~3分でバッファが切れてコマ落ちしていた。WR8700Nの11nでは、超高画質なBSデジタルでも極めてスムーズに映像が流れる。

 実は11gでは、居間の隣にある台所で家族が電子レンジを使い始めると、映像の途切れ具合がさらに激しくなったのだが、その心配もとりあえずはないようだ。とはいえ、2.4GHzの電波には色々な干渉があるのは体験済み。必要に応じて5GHzが選べるというのは嬉しい。

 ハイパーロングレンジモード対応ということで、それこそ家の端から端まで十分な速度で通信が可能。ウチもそろそろWR8700Nかなと思わせる快適さだった。

(編集部:Q)

 テレビやオーディオなどのAV機器も、家庭内LANにつながることで便利になる。では、その通信基盤にWR8700Nイーサネットコンバータセットを用いるメリットは何だろう?

 生活者の視点では無線LANで親機と子機を接続するため、テレビを置いているリビングにEthernetケーブルの配線がいらず美観を損ねることがないという点が挙げられる。掃除の邪魔にもならず、小さなお子さんがリビングを駆け回ってもつまずいてケガをする危険もない。

 技術的な部分では、映像配信というのは大容量のデータを間断なく流れるように配信しなければならない。高速で安定した映像配信を行う機能が必要になる。この点でWR8700Nイーサネットコンバータセットは、「TVモード」という機能を用意し、購入したユーザが設置しただけで、11n(5GHz)でWR8700NとWL300NE-AGの接続を行うよう設定されており、隣近所から飛び込んでくる電波による通信への影響を回避している。

 さらに、WL300NE-AGにテレビを接続して、同時にゲーム機やパソコンも利用したいという場面でも5GHz帯と2.4GHz帯を同時利用できるので安心。テレビの接続にはよりクリアな5GHz帯で、ゲーム機やパソコンは2.4GHz帯で通信することができる。

ネットワーク接続機能を備えた機器は今やパソコンだけでなく、さまざまな製品に広がっている。これらをスマートに接続するために無線LANは必須の機能と言えるだろう

 ここでTVモードが映像配信の通信にどれだけ効果があるのか実験を思いついたので試してみた。実験はこの後で紹介するWR8700Nのパフォーマンスを計測するために用意したFTPサーバをWR8700Nに接続し、WL300NE-AGにはインターネットの無料動画の「Gyao」にアクセスして放送を受信し、その隣でWR8700Nに接続したFTPサーバから300MBのファイルをダウンロードする。

 無線LAN11nの理論値は300Mbpsなので、FTPのデータ通信より映像配信を優先しなければ、映像が途切れたり、コマ落ちしたり、映像が止まったまま音声のみが進行していくことになるはずである。

まずは、インターネットのストリーミング動画をどの程度快適に楽しめるかを調べてみた

 Gyaoで視聴したのは『風の絵師』という韓国のドラマで1話が1時間ほどである。視聴を開始し、数回連続してダウンロードしたり、5分以上間隔を開けて不意にダウンロードしたが、映像も音声も途切れることがなく、映像品質も終始変わることがない。まるでテレビ放送を見るようにスムーズに映像が再生された。正直なところ思いつきではじめた実験だったが、TVモードの効果を実感することになった。

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