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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第67回

「日本のネットを開国したい」非モテSNSえがちゃん本気で語る

2010年03月13日 12時00分更新

文● 古田雄介

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現在は組織のリーダーとして着々と階段を上る

―― 現場で動くプレーヤーから、現場を管理するマネージャーにシフトしたのはなぜですか?

永上 ひとつのウェブサービスを考えたとき、プログラムを組むというのは一要素でしかないんです。そのサービスを多くの人に使ってもらうには、宣伝もしてユーザーサポートもしっかりやって、法律も経理もサーバー運用もやる必要がある。それを全部やれる人間になりたいと思ったのが理由ですね。ある程度の規模になると、一人ですべて完璧にというのは無理じゃないですか。だから、各分野の専門家を雇ってチームを組んで、そこのリーダーみたいなものになりたいと思ったんですよ。

 非モテSNSもチーム内に部署みたいなものがあって、僕は各部署のリーダーに指示を出すだけなんです。僕は手を動かさない。それでいてみんながやる気になれるような環境を作れば、サービスが盛り上がると思うんです。

―― なるほど。チームを運営するうえで、人を使うことの苦労みたいなものってあります?

永上 もう苦労しかないですね(笑)。やっぱり自分一人でやってた時の方が楽しかったですし。ただ、僕は自分が楽しいからやるんじゃなくて、面白いサービスをたくさんの人に提供して、そこで色んな人がグルグル回ってほしいなと思っているんです。だけど、ごく最近はリーダー論みたいなものを勉強することも含めて、組織でやるのが楽しくなってきましたね。

苦労のひとつとして挙げられたのが、2009年12月にスタッフが鳩山首相を装ったTwitterを公開した問題。「勝手にやったんで真意は測りかねますけど、あれは良くない。ああいうルール違反は、インターネットの進化を止めると思います」と振り返る

―― ゆくゆくは会社化の可能性もありそうですね。

永上 いえ、非モテSNSは現在のままボランティアの人たちと一緒に会社化しないでやっていきたいと思っています。ただ、それとは別に、僕自身は会社を作る予定です。今の会社もいずれは退職したいなと思っています。僕自身は、サラリーマンを辞めるということにすごい価値観を感じています。会社勤めが嫌とかではなくて、時間をとられなくなったり、背負うものを整理できるというのが大事なんですね。いつか自分で作った会社ではまったく別の事業をやって、非モテSNSはイケイケドンドンで面白いことをやっていくと。

 僕は100個くらいのサービスを運営していますが、なかでも力を入れているのが非モテSNSなんです。その次が、最近買収した「ぽっちゃりSNS」。3番目と4番目が「pimote」というTwitterのクローンと、これも買収した「萌えBBS」です。他のサービスも、今後ちゃんとお金をかけて運営していこうと思っていますが、特にこの4つは気合いを入れてやっていきたいですね。

2010年2月に「チームぽっちゃりSNS」として買収した「ぽっちゃりSNS」。ぽっちゃり系の男女やぽっちゃり好きが集うSNSで、買収時点で会員数は1万6000人にのぼる

―― ちょっと話がそれますけど、永上さんが宣伝にも力を入れている理由が分かりました。非モテSNSがスタートした頃、突然私のメールに永上さんからのプレスリリースが届くようになったんですよ。面識ないのに何でだろ? と思っていたんですが、企業に近い運営をしているんですね。

永上 そうなんですよ。僕は社会人としては営業畑の人間ということもあり、飛び込み営業のひとつとして、メディアやその関係者の方々にリリースを送るようにしたんです。非モテSNSを始めた頃に人を雇って、200人くらいの方をリストアップしましたね。ひとりで運営しているサービスのリリースを送ったこともありました。

 前々から、ネット上にはすごく優秀なプログラマーの方やそのサイトがありますけど、営業努力をしている人が少ないなと感じていました。コンテンツを作ることにかけては強力だけど、パブリシティは苦手というか、そういう意識がない人もいるという。僕は逆にパブリシティのほうがやりたいという気持ちが強いんですよね。

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