これからの課題は、視聴者と「広告主」の結びつけ
ROBROはその点を割り切って、既存のテレビ、既存のネットコンテンツをほぼそのままチャンネルに割り当てるアプローチを取っていて、これまでそういったコンテンツを「お金を払って」調達してきた事業者とは逆に、「場所代を取る」ビジネスモデルを目指していて一定の成果を上げていることも興味深い。
現在のところROBRO自体は対応を明らかにしていないが、ネット接続型のテレビとしては「TiVo」のように、視聴動向に基づく広告表示やより明確な効果測定が可能な仕組みを備えていくはずだ。今後販売台数が伸びれば「IP放送」では難しいこの分野に挑戦できる可能性も出てくる。
ハード・ソフトの両面で、既存のものを組み合わせ、応用製品で勝負していくのは、もともと日本企業が得意としてきたはずのアプローチだ。今後のROBROの動向にも注目していきたい。
著者紹介――まつもとあつし
ネットベンチャー、出版社、広告代理店などを経て、現在は東京大学大学院情報学環修士課程に在籍。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、IT方面の取材・コラム執筆、映像コンテンツのプロデュース活動を行なっている。デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士。著書に「できるポケット+Gmail」など。公式サイト 松本淳PM事務所[ampm]
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