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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第41回

わかりにくいGPU&チップセット コード名まるわかり

2010年03月01日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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製品名では中身がわからない!
混乱したNVIDIA GPUのコード名と製品名

 AMDとは逆に、「あえてユーザーを混乱させたいと思っているのでは?」と邪推したくなるのがNVIDIAである。なにしろ、同じコード名の製品を名前を変えて何度も出したりする一方で、異なる世代の製品に同じ型番をつけたりするから、コード名と製品名の両方を示さないと特定できないほどだ(G200bSP216コアのGeForce GTX 260とか)。

 特にこれが顕著なのは、2008年に登場した「G92b」コアである。こちらの記事にあるロードマップ図を見ていただくとわかりやすいが、元を正せば初のDirectX 10対応コアである「G80」(GeForce 8800 GTX)に遡る。これを微細化し、メモリーバス構成を変えたのが「G92」、そのG92をさらに微細化したのが「G92b」になる。

 このG92bコアは当初、「GeForce 9800 GT/GTX」として発売され、ついで「GeForce GTS 240/250」として改めて販売され、最近また「GeForce 330 GT」として新たにOEM向けラインナップに加わっている。3世代に渡って同じ製品が名前を変えながら売られているわけで、混乱しないほうがおかしい。

NVIDIA GPUのコード名一覧

アーキテクチャー
コード名
製造プロセス 製品コード名 製品
G80 65nm G92 GeForce 9600 GSO/8800 GTS/
9800 GTX/9800 GX2
G94 GeForce 9600 GT
G96 GeForce 9400 GT/9500 GT
55nm G92b GeForce 9800 GT/9800 GTX+/GTS 240/
GTS 250/GT 330
G94b GeForce 9600 GT/9600 GSO
G96b GeForce 9400 GT/9500 GT
G200 65nm G200 GeForce GTX 260/280
G200SP216 GeForce GTX 260
55nm G200b GeForce GTX 275/285/295
G200bSP216 GeForce GTX 260
GT212? 40nm GT215 GeForce GT 240/GT 320/GT 340
GT216 GeForce GT 220
GT218 GeForce 210
Fermi GF100 GeForce GTX 470/480

お詫びと訂正:掲載当初、65nm版G200bSP216の製品名が誤っておりました。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。(2010年3月7日)

 愚痴はこの位にして、コード名の説明をしよう。ベースとなるのは90/80nmプロセスを使ったGeForce 8000シリーズの「G8x」だが、さすがにこの世代の製品は市場からもほとんど消えている。現在あるのは「G9x/G9xb」というコード名のGeForce 9000シリーズと、この後継であるGeForce 200シリーズである。まずG9x/G9xbは以下のようにポジショニングされている。

  • G92/G92b:ハイエンド向け
  • G94/G94b:メインストリーム向け
  • G96/G96b:ローエンド/バリュー向け

 ちなみに“b”なしのG92/G94/G96は65nmプロセス、“b”付きは55nmプロセスでの製造である。AMDの場合とは逆に、数字が少ないほどハイエンドというコード名の振り方がなされているのがわかる。

「G200」ことGeForce GTX 280

「G200」ことGeForce GTX 280

 これに続き登場したのが「G200/G200b」で、こちらも65nm/55nmの両方で利用されている。厄介なのは、両方のプロセスにまたがる製品(GeForce 9600 GTGeForce GTX 260など)が少なくないこと。当然微細化した“b”付きの方が消費電力が少ない分好ましいのだが、製品パッケージにそこまで記されていることはまれで、結局買った後でフリーソフトのチェックツール「GPU-Z」などを動かして、「くそ~65nmだった」と悔しがることになるわけだ。

 このG200/G200bは、G92コアよりは進歩しているとは言え、基本的にはDirectX 10相当のコアで、消費電力もそれなりだ。最近になってやっと、「GT212」ベースのコアが出てき始めた。GT212は実際には存在しない製品であるが(関連記事で説明している)、G200bを40nmに微細化し、さらにDirectX 10.1の対応を付け加えたものと考えればよい。

 どうも「GT214」はお蔵入りになったようで、「GT215」「GT216」「GT218」の各コード名の製品が現在出荷中である。一応原則としては、G200/G200bとこのGT215/216/218というシリーズがGeForceの200番台にあたることになる。だが先に述べたとおり、ここにG92コアの製品が混じっていたりするので、まだまだ油断ができない。

 ちなみに今後の話をすると、「Fermi」というアーキテクチャーコード名を持つコア(コアのコード名はGF100)を搭載する製品の最初の型番が、「GeForce GTX 470/480」になることがTwitterで公開された。恐らく2010年前半には登場するだろう。発表は第1四半期中と思われるが、ショップに出回るのはぎりぎり4月になるかもしれない。

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