――ネットショップのエキスパートが斬る!――
株式会社SAVAWAY代表の川連一豊さんに、小規模ショップでも大手と勝負しやすい「ニッチ商材」とその取り扱い時のコツについてうかがいました。
ニッチな商材に勝機あり、個人商店ならでの強みを生かそう
この数年の間に、ネットショップ業界も資本力の差はかなり開いてしまったといえると思います。コンサルティング会社に多額の費用を支払って検索対策をする、検索連動型広告などをフル活用してワンクリック 500円以上もするキーワードに惜し気もなく投資するような企業も存在する今、“個人商店”レベルでは、それと同じ土俵で勝負するのはかなり厳しいと言わざるを得ません。ただし、そのなかでも趣味性の強い、いわゆるニッチと呼ばれる商材を扱うショップであるほど、勝機は潜んでいると思います。たとえば私がコンサルティングに関わっているショップのなかでは、オリジナル生地をメインに扱うショップや、オリジナル表札だけを扱うショップなど、大手資本が参入しにくいジャンルで、かつ、他にはないオリジナル商材を扱うお店などは、個人レベルでも十分に勝負していくことは可能です。石塚さんのネットショップの場合、商品に対する店主の深い知識が求められますし、仕入れなどはツテやコネがモノをいうはずですから、もともと参入障壁が高い分、より一層、競合店が少ないなかで勝負できる強みがあるといえます。
開業前のブログ活用で、潜在顧客を掴め
石塚さんは、コレクターにも満足できるようきめ細やかなサイト作りを目指し、商品説明文にも心を配るなど工夫が随所に見られますが、こうしたニッチな商材を扱うお店の場合、開業前から、例えばブログなどを活用して商品を少しずつ紹介しておくこと等を行うことも非常に有効ではないかと思います。開業数か月前ぐらいから、開業する経緯や商材に対する思い、どんな商品を扱う予定か等について毎日更新していけば、潜在的な顧客を掘り起こし、かつ店への信頼感も高めることができます。これなら、開店した後もリピーターを早く確保でき、よりスムーズに運営を行っていけると思います。
趣味性の強い商材を求める顧客は、商品のよさや、商品に対する知識を店主と共有したいという気持ちが強いもの。その意味でも、ブログを活用し、店主の商品のうんちくや知識、意見などを記しておくのは有効です。また、同様の理由で、ネットショップの運営と併行して、独自SNSなどを活用しながらリピーターを中心にしたコミュニティを作ることも有効。そこで意見交換をしあい、顧客の求める商品をリサーチするのもありではないでしょうか。
川連一豊:サバウェイ代表。愛知大学卒業後、TVCMやTV番組、CGの制作に関わる。その後、楽天市場に出店している枕を扱うネットショップに携わり、2002年 12月に売上1000万円を達成。2003年にはショップオブザイヤージャンル賞受賞。2004年7月独立、SAVAWAYを設立し、ECコンサルティング、ECに必要なシステム開発を行なっている。