このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

松村太郎の“モバイル・ネイティブ”時代の誕生を見る 第4回

ソーシャルメディアとスマートフォンは就職活動を助けるか?

2010年02月26日 13時30分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

社会人との接点をリアルタイムに持つメディア

 iPhoneからメールとウェブを使ってセミナーやエントリー情報を逃さない。Google Docsを使って就活サイトや企業情報のドキュメント、URLを管理する。そしてカレンダーを活用してスケジュール管理もきっちり行なう。そしてTwitterのタイムラインへのアクセス、投稿もすぐに可能な環境を作り、就活仲間と情報交換をする。

 メール、ウェブ、Twitter……。就活生のスマートフォンの使い方は、ビジネスパーソンのそれに近いものがある。このスピード感とコミュニケーションは、社会人との接点作りにもつながっているそうだ。

 「Twitterというメディアは、社会人と就活中の学生の溝を埋めていると思います。社会人が日々何を考えているかを見ることができるし、志望業界に携わっている人のつぶやきも見られます。また社会人の方に就活生からのコメントが来たら返すか尋ねたところ、質問や発言内容がおもしろければ返すという答えが集まりました。もちろんTwitterとはいえ、結構勇気が要ることですが、チャンスでもあるんです」(伊澤氏)

佐藤孝治氏

佐藤孝治氏のジョブウェブでは、学生の就職活動、企業の採用活動双方に対するサポートを10年間進めてきた

 スマートフォンとソーシャルメディアによる就職活動中での社会人との接点作りについて、別の角度からそのメリットを唱えているのは、ジョブウェブ株式会社 代表取締役社長で、『〈就活〉廃止論 会社に頼れない時代の仕事選び』を執筆した佐藤孝治氏だ。

 「メール、ブログ、Twitterが就活生の三種の神器になってきました。これらは履歴書以上に、その人となりを表す手段と言えます。そして高校までの友人、大学で出来たネットワークに加えて、意識的に社会人をTwitterでフォローすることで、おもしろい人を見つけたり、情報量そのものが増えたり、視野が広がる助けになります。何か社会人にとって有益なコメントを返したり、それがすぐできなければフォローした人の弟子になる感覚でも良いかもしれません」(佐藤氏)

 社長の鞄持ちになる、といった内容のインターン活動が話題になったこともあったが、Twitterを使うと、24時間社長に限らずいろいろな人の鞄持ちをしているようなものだ、とも言う。常にポケットの中に入るスマートフォンからTwitterを使うことは、情報にピッタリと張り付ける、敷居が下がったコミュニケーション手段によって、社会との双方向の結びつきを作っていく事を可能にしている。

 ウェブ上で礼儀を保ちながら自然にコミュニケーションを進められるちょっとした勇気と、社会人にとっても有益、と感じてもらえるような自分なりの話題を持つこと。スマートフォンとソーシャルメディアがある就職活動は、単に就職活動のスピードを高めているだけではなく、就職活動そのもののあり方を変え始めているのではないだろうか。

■Amazon.co.jpで購入

筆者紹介──松村太郎


ジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。嘉悦大学、ビジネスブレイクスルー大学でも教鞭をとる。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。スマートフォンに特化した活動型メディアAppetizer.jp編集長。自身のウェブサイトはTAROSITE.NET


前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン