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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第66回

ネットで変わるTシャツ文化 「東京Tシャツ部」管理人が語る

2010年02月22日 12時00分更新

文● 古田雄介

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そして、「無地」に帰結した。

―― 東京Tシャツ部の今後の目標を教えてください。すでに部員1000人は達成されましたね。

クラゲ そうですね、1万人いきたいですね。達成するのは50年後くらいかもしれないですけど(笑)。もっと近いところでいえば、部員2000人や3000人を記念してホテルを借り切ってパーティをしてみたいですね。「正装で来てください」とハガキやメールを出して、皆がどんな格好で来るのか見てみたい(笑)。

 サイト運営に関しては、いまはマンネリを狙おうと思っているんですよ。昔は企画をズンズン作っていましたけど、淡々と更新する感じに。行ったら常にある喫茶店じゃないですけど、そういうものを目指すようになっていますね。

―― 一人のTシャツ好きとしての目標もあれば、教えてください。50枚に減らした状態から、またコレクションを増やしていきますか?

クラゲ それがですね……去年は2枚しかTシャツ買っていないんですよ。Tシャツを何年間も見過ぎちゃって、不感症じゃないですけど、これだって思う機会がなくなっちゃったんですよ。それで最近は、無地のTシャツを着ることが多くなったんですよ。無地のTシャツにも色々あるんですけど、自分の一番好きな無地のTシャツを。毎週何枚も買う生活を経て、無地に行き着いてしまった(笑)。けっしてTシャツに対して愛がさめたというわけではなく、情熱はすごくあるんですけど。

―― 有を追求していった結果、無に帰結するという。哲学ですね。

クラゲ そうなんですかね(笑)。あと、それとは別ですが、Tシャツが大量に出てくるようになって、好みに合うものに出会うのが難しくなったというのも感じます。2002年は個人でTシャツを作っていたら、それだけで売りになったんです。それが2004年頃に普通になって、2006年や07年頃にはデザインをWEBでアップするだけでTシャツが作れるシステムが登場しました。どんどん簡単にTシャツが作れるようになってきたんですよ。

 今はプリントだけでなくウェブ販売も請け負うサービスもあって、デザインだけアップすれば勝手に販売してくれて、その何パーセントかをバックしてもらえるという。誰でもコストをかけずにTシャツが作れるようになったのはすごく嬉しいことですけど、それによってあまり練られていない時事的なものが増えたりもしていますね。

―― 門戸が一気に開いたときは、どうしても玉石混淆感が強まってしまいますよね。

クラゲ ですね。だけど、強い情熱を感じるTシャツの絶対数も増えていますから、すごくニッチに思えるような名作に出会えるチャンスは格段に増えていると思います。

 今は作り手も買い手も、同じネットで情報を共有できます。楽天に行ったら無地のTシャツが1枚300円400円とかで買えちゃいますし、1枚プリントするのにいくらというのも簡単に調べられます。誰でも原価が分かる時代なんですよね。それでも、1枚のTシャツに3000円や4000円払いたくなるというのは、やはり何かしらの情熱を感じるからなんです。これからも、そういう作品に出会いたいですね。



筆者紹介──古田雄介


古田雄介

 元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。今回の東京Tシャツ部さんは、「古田雄介のブログ」で募集中の、お勧めサイトにて、紹介していただきました。ありがとうございます!




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