開始早々のYouTubeからの遮断、ユーザー発の様々なコンテンツの誕生、西村ひろゆき氏や元ドコモ役員の夏野剛氏の合流―― 「ニコニコ動画」は常にネットの世界に話題を提供してきた動画共有サイトだ。
アカウント登録者数は1500万人、うち月額525円を支払うプレミアム会員は60万IDを超えている(2009年12月14日発表時)。一時はYouTubeの国内平均利用時間や訪問回数の約3倍を記録するなど、海外勢が殆どを占めるネットサービスの中で、国産サービスとしての存在感も随一と言えるだろう。
ある意味「派手な」ニュースが相次ぐ一方、「黒字化」の遅れなど、ビジネス面では不明な点もあるのも事実だ。サーバーや通信インフラが人気の高まりと共に収益の頭を押さえているとされるが、収益源である有料会員や広告収益がこれ以上大きく伸びる余地があるのか、ホットトピックスに隠れて展望が見えにくい。
ネットメディアではひろゆき氏・夏野氏が発言することが多いが、今回はビジネス展開を聞くため、あえてドワンゴ社長の小林宏氏に話を聞いた。グループ戦略からは、ニコニコ動画は一体どんな存在に見えているのだろうか?
文字通りユーザーに支えられている
―― 昨年、「黒字化」について注目が集まり、減損の影響もあり残念ながら達成が出来なかった訳ですが、ニコニコ動画の収益モデルについてはどのようにお考えでしょうか?
小林 ニコニコ動画の売上げの約85%がプレミアム会員の課金収入などの、ユーザーへの直接課金によるものです。無料モデルが中心のネットサービスにおいても、特異なサービスだと言えるかも知れません。
有料化を発表したとき「30万人の会員獲得」を目標として掲げたのですが、アナリストの方などに「そんな数は集まらない」とご批判も頂きました(笑)。
しかし、過去のテレビコンテンツの削除による停滞を乗り越え、現在私たちが「第二波」と呼んでいる伸びが再び訪れています。いずれにせよ、文字通りユーザーに支えられているサービスです。
一方で、「1日中ずっとニコニコ動画を見ている」ようなコアなユーザーは、ほぼ獲得しつくした、と感じています。後ほどお話する生放送、特に月~金の帯番組「とりあえず生中」など、従来のユーザーとは別の層の呼び込みに努めた結果、今の伸びがあると感じています。
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