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仮想アプライアンスという選択肢第2回

単なる仮想アプライアンスだけじゃない!

分けたり重ねたり!A10の仮想化製品は4つのチョイス

2010年02月17日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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昨今、多くのアプライアンスベンダーが仮想アプライアンスの提供を開始している。しかし、テクノロジーリーダーを自認するA10ネットワークスが1月に発表した仮想化とクラウドコンピューティングへの対応は、他社とひと味もふた味も違っているようだ。同社の創業者で、CEOを務めているリー・チェン氏に話を聞いてみた。

40Gbps対応のADCで国内市場にも進出

A10ネットワークスのCEOを務めるリー・チェン氏に仮想化・クラウド戦略を聞いた

 A10ネットワークス(以下、A10)は、ADC(Application Delivery Controller)を中心に、ID管理、帯域制御などのアプライアンスを手がけるベンダーだ。F5ネットワークスを筆頭とするロードバランサー第1世代に対して、アレイネットワークス、パイオリンク、バラクーダネットワークス、ネットスケーラ(現シトリックス)とともにロードバランサー第2世代にあたるベンダーといえる。2009年には40Gbps対応の高速モデルをひっさげ、日本にも上陸した。

昨年のInteropでは40Gbpsという高速なスループットを誇る「AX5200」を展示

 主力のADC製品である「AXシリーズ」は、マルチコアCPUに最適化されたAdvanced Core Operating System (ACOS)というアーキテクチャをベースに、コア数に応じた高いパフォーマンスを実現。また、XMLベースのAPIを用いたカスタマイズ、IPv6へのいち早い対応、帯域制御などの機能をすべて標準搭載しており、コストパフォーマンス面も優れている。

 こうしたロードバランサー・ADCの分野で現在流行しているのが、ご存じ仮想アプライアンスの提供である。これはVMwareやXenなどハイパーバイザ上で動作するソフトウェアベースの製品を指し、おもにサービスプロバイダでの利用を想定している。国内では2009年にシトリックスが先鞭を切ってXen上で動作する「NetScaler VPX」を発表し、その後各社が続いたのはご存じのとおりだ。

A10は仮想化対応にも
いくつかの選択肢

 今回、A10が1月に発表したロードマップも、基本的にはこうした仮想化ひいてはクラウドに対応する製品がベースになっている。しかし、他社と異なり、多彩な選択肢が提供されているのが特徴だ。

 まず「SoftAX」は、既存のAXをハイパーバイザ上で動作させるためのソフトウェアイメージだ。これは他社が仮想アプライアンスと言及しているのと同じもので、汎用サーバーを用いてAXのフル機能を利用できる。トラフィックの比較多くないアプリケーションやサーバーに余剰リソースがある場合の選択肢といえる。ただし、汎用サーバーを用いるため、パフォーマンスの保証がない。

SoftAXはハイパーバイザ上で動作するソフトウェアイメージ

 次の「AX-Vアプライアンス」は、このSoftAXを動作させるための専用ハードウェア。SoftAX向けに最適化されており、オンデマンドでADCを追加したり、削除できる。SSL処理用のASICなどのハードウェアサポートを受けることができることもあり、高いパフォーマンスが実現する。「コンセプトはSoftAXと近いが、AX-Vは仮想マシンの柔軟性とAXアプライアンスの信頼性を併せ持つ」(リー氏)。冗長化電源にも対応し、ポート密度も高い。

AX-Vは仮想AXを動かすための専用ハードウェア

 3つめはAXアプライアンスを複数組みあわせる「バーチャルシャーシ」だ。最大8台のAXアプライアンスをクラスタ化し、1台の仮想IPアドレスで管理できる。複数のAXアプライアンスはアクティブ-アクティブでも、アクティブ-スタンバイでも自由に組みあわせることができ、可用性や処理能力の向上を実現する。「低廉なコストで可用性を高め、システムを拡張できる。管理もシンプルになる」(リー氏)。ソフトウェアアップグレードで対応できるため、既存のユーザーもその恩恵を受けられる。

バーチャルシャーシは複数のAXアプライアンスをクラスタ化する技術

 そして4つめは、バーチャルシャーシの逆で単一のハードウェアを複数の仮想アプライアンスに分割する「Application Delivery Partitions」である。システムやネットワーク、アプリケーションなどのリソースを共有しつつ、管理権限も分割できる。単一のアプライアンスで複数の顧客をホストするマルチテナント型サービスに最適といえる。

Application Delivery Partitionsは単一のハードウェアで複数のADCに分割できる

 確かに各製品を単体で見れば、他のベンダーでも実現されている機能がある。だが、異なる仮想化の製品形態を4つ揃えているのはなかなかユニークなポイントといえる。トラフィックの少ないユーザーは安価なSoftAXを導入し、マルチテナント型のサービスで使いたい場合はパフォーマンスの保証されたAX-Vアプライアンスを選択すればよいだろう。「特にバーチャルシャーシやAX-VアプライアンスはA10ならではの技術。ハイパーバイザーについても、VMware、Xen、Hyper-Vなどに対応し、ベンダーに中立の立場をとっている」(リー氏)とのことで、明確な差別化ポイントとなっている。

 これだけ多くの仮想化対応製品を用意したことについて、リー氏は「テクノロジーリーダーを自認しているわれわれが、単なるソフト版だけを出すことはありえない」と述べており、ユーザーに多彩な選択肢を与えるのが、同社の戦略のようだ。

 製品の出荷やソフトウェアのアップグレードは2010年の2Qに開始される予定だ。

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