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行っとけ! Ubuntu道場! 第13回

~師範! Ubuntuの仲間たちで音楽制作ですよ!~

2010年02月11日 18時00分更新

文● hito(Ubuntu Japanese Team) イラスト●瀬尾浩史

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MacやWindowsのソフトは高いけど、Linuxはフリー

のがじゅん:音楽CDとか、オンラインで販売されてる音楽って、ステレオで録音されてますよね。

hito:ここでいう「ステレオ」っていうのは、右から聞こえる音と、左から聞こえる音が違う、という意味ですね。

編集S:ふむふむ。

のがじゅん:デジタルデータとしては、「右側から再生される音」と「左側から再生される音」が別のデータになるんですが……これは「完成した状態」ですね。そこに辿り着く前の状態があります。これが「楽器ごとの音」が収録された「トラック」というものです。

小林:ぷしゅー。

ミズノ:先生、小林さんの頭から煙が出そうです!

のがじゅん:うーん、陸上競技のトラックってありますよね。短距離走とかで、白線が引いてあって、レーンの中を選手が走るやつ。

瀬尾浩史:想像するのは100mを10秒以下で駆け抜けるやつでいいペン?

のがじゅん:それでいいです。ライブとかだと左用と右用のそれぞれでマイク立てるだけでいいんですけど、普通にスタジオとかで録音する場合、あの「レーンごとに分けられたもの」みたいな形で、ギターの音と、ドラムの音と、電子楽器の音と、ボーカルの音が……っていう形で別々に録音するんです。もちろんまとめて演奏することもあるんですが。

あわしろいくや:Beatlesの時代ぐらいからやってる方式ですな。

hito:徹底的に細かく録音する場合だと、ほんとーに楽器ごとに録音しますね。演奏する人は音漏れしないヘッドフォンを使って他の音とあわせる感じで。

あわしろいくや:収録するのが全部別の日、なんて話も聞きますな。

hito:ボーカルだけは後で入れることが多いから、「楽器」と「ボーカル」の2トラックに別れるのは普通ですね。

編集S:えーと、脳内で陸上競技のトラックを思い浮かべて、そのレーンごとにギターさんとドラムさんと電子楽器さんとボーカルさんが同時に走っていくイメージを思い浮かべればOK?

あわしろいくや:なんとなくそんな感じでいいんじゃないでしょうか。

小林:ギターに手足が付いてる奇妙な生物(?)が浮かんでしまいました……。

瀬尾浩史:イラスト描くときに人物ごとにレイヤー切って、別の絵を描いて重ね合わせて一枚の絵にするイメージでもいいペン。レイヤーごとにギターとかドラムとか電子楽器とかボーカルの音が載っているペン。

のがじゅん:で、それを最後に合わせ込んで、右と左に音を配置して、ステレオ再生できるようにしたりします。別々に取ってるからタイミングもちょっとずつズレてたりしますから、それを合わせ込んだり、ボリュームを合わせたり。これがミキシング。

やまね:そんだけ面倒なことをするから専用ソフトが必要、と。

のがじゅん:ですね。ミキシングされた後の音を調整して、CDに納められるようにする作業を「マスタリング」と言います。ミキシングとマスタリングはまとめて一工程になっていたりもしますが、専用ソフトウェアが必要になるんです。

あわしろいくや:WindowsやMacでは、むっちゃくちゃ高いソフトが売られてますなぁ。数十万とか。

瀬尾浩史:この手のクリエイター向けソフトウェアは高いのペン! 漫画を描くのも同じで、高いソフトが必要なのペン!

hito:まぁ、安いヤツは徹底して安いんですけどね。それでも数万円のオーダーです。

小林:「電子楽器」にもいろいろありますが、すごく端的に言うとボーカロイドを想像して頂くのもいいかもしれませんね。

hito:PCだけで演奏させようとするとそうなりますね。他にも、ピアノの音を再現してくれるソフトとか色々あります。そのあたりは後で。

のがじゅん:マイクさえあれば自分で演奏したり、歌ったりしたものを取り込んで、ということもできます。

やまね:でも、いずれにせよ、そういう「トラック」ごとの音を重ね合わせたり、別々に扱ったりするのにソフトが必要、と。

のがじゅん:この手の音楽制作をLinuxでやりたいよ! っていう人たちは常にいるので、音楽制作用ソフトウェアもけっこうあります。なのでそれをまとめたり。Regret以外にも「Ubuntu Studio」っていう競争相手もいますし。

「Regret」の商売敵(?)、Ubuntuの公式派生プロジェクト『Ubuntu Studio』。おしゃれキッズのために、煮しめた茶色のデスクトップから、ブラック&ブルーのステキなテーマに変更されている。リアルタイムカーネル採用ってところも、マニアの心をくすぐるのだ。ちなみに、音楽だけでなく、動画編集、画像編集などクリエイティブ全般をサポートしているのだ

hito:まぁ、この手の作業にはどうしても専用のソフトウェアが必要になってきますね。Emacsでもさすがに無理です。

ミズノ:……い、Emacsで音楽制作はできない……っ! そんな……っ。そんな馬鹿なッ!

瀬尾浩史:なんか体育座りしてブツブツ言い始めたペン。

ミズノ:Emacsにできないことがあるなんて……。Emacsはなんでもできるのに……。Emacs……ぶつぶつ……。

編集S:そこ、Emacsにできないことに遭遇したからってアイデンティティ崩壊させるな。北島マヤ眼になっとるぞ。

あわしろいくや:濃いキャラを演じていると大変ですなぁ。

村田:いや、明らかにいくやさんの方が濃いですから!

あわしろいくや:い、いくやのキャラがこんなに濃ゆいいわけがない!

編集S:ふつうに「濃い」でいいのに「濃ゆいい」。さすが先生です!

hito:まぁ、ここでは「音楽制作にはなんか専用のソフトウェアが必要なんだ」ということと、「WindowsやMacでやろうとするとすごくお金がかかる」ってことだけ分かって頂ければ。


(次ページへ続く)

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