このページの本文へ

松村太郎の“モバイル・ネイティブ”時代の誕生を見る 第3回

“巨大なiPhone”であるiPadをいかに使うか

2010年02月12日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

iPadがある生活をイメージしてみる

 「必要ない」と回答している人にとって、iPadが自分の生活のどこに収まるデバイスなのか、見いだせていない人も多いのではないだろうか。

 アップルCEOのスティーブ・ジョブズはステージ上に置かれた一人がけのソファに足を組んで座りiPadを操作していた。デスクではなくリビングで使ってもらうデバイスであるというプレゼンテーションだと受け取ったが、家にソファがなければ、そもそも共感しにくい。

ソファに座るジョブズ

ソファに座ってiPadを使うジョブズ。画像はアップルが配信するストリーミングビデオより引用

 デジタルフォトフレームとしての性格もあれば、メールやスケジュール、アドレスブックと言ったデジタルステーショナリーとしての側面もある。そしてiPhoneアプリがそのまま動き、iPad向けのiWorkでドキュメント作成にも対応する。また日本でいつ始まるかわからないが電子書籍が読める端末でもある。

 つまり特定の目的がない、家の中で情報に触れるための端末がiPadであり、ではどう情報に触れればよいか、というのがiPadの提案なのだ。

 このメッセージはどちらかというと、すでにパソコンやケータイに触れてウェブを使いこなしている人よりは、パソコンやケータイが難しそうで触るのに億劫な人たちに向けたものだと考えている。さらに言えば、iPadの3Gモデルは、家にネット回線も無線LANもないウェブに触れてこなかった人たちにぴったりなのだ。

 ジョブズはiPhoneとMacの間にiPadをポジションするプレゼンテーションを行なっていたが、実はiPhoneもMacも手元にないこれから始めるユーザーにとって非常に魅力的なデバイスと言えるのではないだろうか。そしてiPhoneと同様のマルチタッチディスプレイは、初めて触った人でも見よう見まねで使い始めることができる点も大きなアドバンテージだ。

 ただし気になるのはiPadがiPhoneやiPodと同じように、データの管理にパソコンのiTunesを母艦として使用しなければいけない点だ。OSのアップデートやバックアップ、コンテンツ管理などをiTunesに頼る体制では、上に述べたようなiPadの良さが完全に発揮できるとは思えない。アップルはこの問題に対して対処していくのだろうか。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン