ネットとリアル、バランス良くやっていきたい
―― 最後に上げた動画は11月ですよね。今はまた何か作っているんですか？
綱嶋 定期的に動画を制作しようというのはモチベーションが下がってしまっていて……。ただ、「Mac音ナナ」※1であったり、「空飛ぶパンツ」※2であったり、そういう面白いものがあって、モチベーションが上がったときには作るようにしています。
※1 Mac音ナナ : 毎日コミュニケーションズの雑誌「Mac Fan」の企画から生まれた、女優・声優の池澤春菜を起用した音声素材集のこと。ダウンロード価格は2980円。
※2 空飛ぶパンツ : もともとはアニメ「そらのおとしもの」の2話エンディングで流れたパンツが渡り鳥のように編隊を組んで飛んで行くという映像のこと。SF作家・野尻抱介氏が作った「空を飛ぶパンツ」の動画が人気を博したことでさらにブームに。
―― 何かほかのものにモチベーションが移っているとか？
綱嶋 うーん。ニコニコに限らず、ネット絡みのお仕事をすることが多くなってきたのもあります。ボーカロイドSNSの「にゃっぽん」さん経由でオンラインショップを出して、Ｔシャツやマグカップを売ったり。ボーカロイド系のCDを作れないかという仕事をいただいたり。
Ｔシャツもプリントしている。「君はCosMoを感じたことがあるか」はボーカロイドPの名前をネタにしたもの
―― もし「お金はワシが出すからこんな動画を作ってくれ！」という話があったら？
綱嶋 はははは、そういうのがあってもいいですね。実際、ニコニコ技術部で「こんなものを作ってくれ」という話もありました。超電磁Ｐの「はちゅね宇宙航空研究開発機構」※3にも協力させてもらってます。まあもちろん、お金にならないことばかりですけど。
※3 はちゅね宇宙航空研究開発機構 : 「初音ミク」のデフォルメキャラ「はちゅねミク」をキューブサット相当の人工衛星に搭載して宇宙に送るという前代未聞のプロジェクトのこと。
―― ボーカロイド関係でいえば、イベント「THE VOC@LOID M@STER」にも出展されていますよね。
綱嶋 業者として頒布物を出しているというのもあるんですが、実はCDを作っているからというのが大きいんです。実際に会場でCDを「納品」したいという。どうせ会場に行くんだし、ボーカロイドＰさんのイスの下にCDを置いておけばいいだろうかと。
最近ではボーカロイド系のCDも作成している
―― サンタクロースみたいな話ですね。あ、でも集金はするのか。となると痛車なども含めて、最初欲しかった「個人からの仕事」が多くなったということですか。
綱嶋 ただ、痛車の場合はまだ色々難しいことも多いんです。依頼いただいた方に高解像度のデータを用意していただく必要があったり、著作権をしっかり処理してもらわなければいけなかったり。
―― 課題もある中で、ようやく「作ってみた動画」が広告としてペイ出来はじめているわけですね。今後はもっとネットでの仕事を増やしていきたいとは思っていますか。
綱嶋 そうですね、ただ、ネットだけではだめなんですよ。実際に会って話をしないと、必ずすれ違いがある。やっぱりバランスです。ネットとリアル、それぞれバランス良くやっていきたいと思っています。
