現在さまざまな種類の地デジキャプチャー製品が発売されているが、どう違うのだろうか? まずは製品を選ぶ上で必要となってくる要素について説明しよう。
【製品選び その1】
受信したい放送はどれ?
地デジのみか、地デジ+BS+110度CSか
ここまで地デジキャプチャー製品などと行ってきたが、地デジ放送のみに対応した製品のほか、BSデジタル/110度CSデジタル放送の受信も加えた3波チューナー対応タイプ。またそれとは別にワンセグ放送も受信できるハイブリッドタイプがある。
ちなみにBSデジタル、110度CSデジタルを受信するには別途受信環境を用意する必要がある。BS/110度CSデジタルについては、パラボラアンテナの向きについては従来のアナログのBSと同じだが、110度CSの周波数帯が高いため、古い機器や環境では受信できない場合もある。また比較的新しい集合住宅などでは共用アンテナがすでに設置されているケースもある。
BSデジタルでは主要なキー局系の放送局やWOWOWなどの独自の番組も含めて放送しており、また110度CSデジタルでは主にスカパー!e2が有料放送を行なっている。スポーツ、映画、アニメなどに興味があるならば、契約を検討してもいいだろう。
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【製品選び その2】
PCとの接続方式 PCI ExpressかUSBか
現在のキャプチャーカード製品は大きく分けて、USB 2.0タイプとPCIタイプ、PCI Expressの3種類がある。ノートPCであれば当然USB 2.0タイプを選ぶしかない。
デスクトップPCであれば、空き拡張スロットの状況によって選ぶ必要がある。アナログ放送の時代は、USB 2.0タイプは選べるビットレートの種類が少なかったり、操作したときの反応速度が遅いなど、性能的に劣っていることが多かったが、デジタル放送の時代では接続によって性能が異なることはほぼ無い。とはいえ、PCのフタを開けて作業するのに自信がない初心者以外であれば、ケース内に内蔵できるPCIタイプかPCI ExpressタイプのほうがPC周りがスッキリしていいだろう。現在ではPCI Expressタイプの方が選択肢が豊富だ。
【製品選び その3】
機能の違いはチップやソフトから生まれる
一見すると外見はほぼ同じ地デジチューナーでも、ラインナップや価格に差があるのは、搭載されている機能に差がある場合も多い。主な機能の差は以下の4つだ。
●ダブルチューナー
●トランスコード機能
●BD・DVDへのムーブとダビング10への対応
●Windows 7 メディアセンターへの対応
まず一番目の「ダブルチューナー」は、その名のとおりチューナー機能を2つ載せているというもの。2チャンネルの同時録画ができ、録画したい番組が重なったときや視聴している番組とは別の番組を録画したい場合に大変便利だ。家電レコーダーなどではすでにおなじみの機能だろう。またアイ・オー・データ機器では複数のキャプチャー機器をPCに接続して、マルチチャンネル録画ができる機能も用意している。
「トランスコード」はバッファロー独自の機能だ。この機能を用いると解像度やビットレートを落とすことで、録画に必要な容量を小さくし、より長時間録画を可能にしたり、PCへの負荷を下げることができる。
BDやDVDへのムーブについては、バッファローがこの機能を削ることで、より購入しやすい1万円以下の価格帯の製品をラインナップしている。
また第2回、第3回でも詳しく紹介する予定だが、各社独自の視聴用ソフトを用意しており、その使い勝手によって製品の差が生まれている。この視聴ソフトを省き、Windows 7に用意されているメディアセンター機能を視聴ソフトして使用するタイプの製品も存在する。
メディアセンターでは専用リモコンからレコーダーのように地デジの視聴・録画ができる。他にもデータ放送やタイムシフトに対応しており、機能は若干限定されるものの、各社の独自ソフトと比較しても遜色ない操作感が実現されている。同じハードでもソフトを省いたぶん、価格が4000円前後安くなっている。
【製品選び その4】
ネットワークに対応して他のPCからも視聴可能
デジタル放送の録画データは、著作権保護のため、アナログ放送の録画データのように自由に他のPCで再生することなどができなかったが、ネットワーク経由でデータを暗号化して転送する「DTCP-IP」とDLNAによってそれが可能になりつつある。
実際各社の視聴ソフトにDTCP-IPに対応したDLNAサーバーの機能が搭載されるようになり、他のPCやネットワークメディアプレイヤーなどで視聴したり、さらにはDTCP-IP対応NASに録画データをムーブできるようになった。これについては第4回目で詳しく解説する予定だ。
小型化を妨げてきたB-CASカード
小さくなったけれども機能は同じ
従来の地デジチューナーの大きさは、実はB-CASカードスロットを基準に設計されていたのをご存じだろうか? 実は現在の地デジキャプチャー機器を構成するのに必要なチップは小型化されている。
一方でしかしクレジットカード大のB-CASカードを搭載するためにB-CASカードが収まる以下の大きさの本体は作りにくかった。B-CASカードは著作権保護のためにデジタル放送のデータにかけられた暗号を解くために必要な鍵の役割をしており、映像を見るためには不可欠なのだ。
そこで2009年11月より携帯電話用SIMカード大の「miniB-CASカード」が新たに用意されることになった。そして早速これを導入した製品がアイ・オー・データ機器とバッファローから発売になった。本体がUSBメモリーほどになったため、持ち運びがしやすく、外出先でも地デジ放送を楽しめるという利点がある。
第2回では各社の地デジ製品の視聴機能について詳しく見ていく。
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