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物欲AVコモノ道 第40回

「iPad」に備えて……iPhoneで試すDLNA

2010年02月08日 12時00分更新

文● 川添貴生/インサイトイメージ

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インターネットコンテンツも配信できる「TVersity」

TVersityのメイン画面。上部の「Settings」ボタンを押すと、設定画面にアクセスできる

「TVersity」のメイン画面。上部の「Settings」ボタンを押すと、設定画面にアクセスできる

 続けて試したのは、PS3のDLNAクライアント機能をチェックする際にも利用した「TVersity」である。有償のPro版(29.95ドル、約2700円)と無償提供されているFree版があるが、今回はFree版で試している。

 TVersityもWindows 7のDLNAサーバー機能と同じくトランスコード機能を備えているほか、「YouTube」などのインターネットコンテンツを配信できるのも特徴となっている。

 早速セットアップして立ち上げたところ、こちらもMedia Link Player Liteで問題なく認識された。第一階層のメニューは「Audio」「Photos」「Video」「Folders」の4種類。ここから「Video」-「Movies」-「All」と選択すると、配信されているすべての動画の一覧が表示される。

左がTVersityにアクセスしたときの第一階層。右は「Video」を選択したところ。「RSS」や「Podcasts」といった項目が見える

指定したタグが付いたYouTube上の動画を、DLNA経由で再生するといったことが可能。こちらは「ASCII.jp」というタグを持つ動画の一覧をDLNA経由で見たところ

指定したタグが付いたYouTube上の動画を、DLNA経由で再生するといったことが可能。こちらは「ASCII.jp」というタグを持つ動画の一覧をDLNA経由で見たところ

 なお、TVersityでは再生するデバイスの種類を指定することが可能で、今回は「Apple iPod/iPhone」を選択している。またトランスコードを行なうかどうかについて、「Never」「Only when needed」「Always」の3種類の選択肢が用意されているが、今回は必要ならばトランスコードを行なう「Only when needed」のままにしている。

 Windows 7のDLNAサーバー機能では再生できなかったWildlife in HDを見てみると、まずトランスコードが始まり、それが完了した時点で再生が開始された。トランスコードしながら転送されるわけではなかったため待ち時間は発生するが、再生自体には何ら問題はない。

 なお、マイクロソフトがインターネット上で公開しているフルHDのWMVコンテンツをダウンロードして同様に試したところ、トランスコード後に再生が行なわれることに変わりはなかった。

Windows 7のDLNAサーバー機能を利用した際にははじめから再生不可となっていたWMVファイルだが、TVersityでは再生可能となっている

Windows 7のDLNAサーバー機能を利用した際にははじめから「再生不可」となっていたWMVファイルだが、TVersityでは再生可能となっている

無事、WMV形式のHD動画ファイル「Wildlife in HD」を再生することができた。ただし再生はトランスコードが完了してからになってしまう

無事、WMV形式のHD動画ファイル「Wildlife in HD」を再生することができた。ただし再生はトランスコードが完了してからになってしまう

TVersityの設定画面。「Temporary Media Files」のところで、保存しておくキャッシュファイルのサイズを指定することが可能

TVersityの設定画面。「Temporary Media Files」のところで、保存しておくキャッシュファイルのサイズを指定することが可能

 1度トランスコードが完了したファイルはキャッシュされ、2度目以降はトランスコードなしで即座に再生が始まる。また変換が完了したファイルを再生するため、早送りや巻戻しのレスポンスもよい。

 ただ、TVersityとMedia Link Player Liteの組み合わせでは、長時間の動画をトランスコードしながら再生するのは厳しい。短かい動画であればトランスコードにもそれほど時間はかからないが、長時間の動画の場合、トランスコードが終わるのを延々と待たされる羽目になる。

 また相性の問題もありそうで、今回1時間程度のWMVファイルを再生しようとしたところ、トランスコードが完了しているにも関わらず、いつまで経っても再生が始まらなかった。仕方なくMedia Link Player Liteをリスタートし、再度同じファイルを再生したところ、キャッシュ済みのファイルが転送されてようやく見ることができた。

TVersityにはウェブサーバーとしての機能もあり、DLNAクライアントの機能を持っていなくてもコンテンツにアクセスすることが可能

TVersityにはウェブサーバーとしての機能もあり、DLNAクライアントの機能を持っていなくてもコンテンツにアクセスすることが可能

コンテンツをクリックし、ここで再生ボタンを押せばストリーミング再生が始まる

コンテンツをクリックし、ここで再生ボタンを押せばストリーミング再生が始まる

 ちなみに、TVersityの特徴としてHTTPサーバーとしての機能を備え、ウェブブラウザー経由でアクセス可能なことが挙げられる。このため、iPhoneやiPod Touchに搭載されているSafariでTVersityにアクセスし、動画一覧から再生したいファイルを選んでダウンロードして再生といったことが可能である。


DLNAの普及は相互接続性の向上がポイント

 Windows 7のDLNAサーバ、そしてTVersityともにMP4/H.264形式の動画の再生であれば何ら問題なかった。ただ、リアルタイムトランスコードによる再生ができなかったのは残念なところ。

 TVersityはまったく再生できなかったわけではなかったが、トランスコードが終わるまで再生が始まらないのでは常用は厳しい。現状では、事前にMP4/H.264形式に変換しておく必要があると言えそうだ。

 MP4/H.264形式に変換するのであれば、わざわざDLNAで配信しなくても、最初からiPhone/iPod Touch内に保存してしまえばいいと思うかもしれない。ただ、動画を保存することを考えると、iPhone/iPod Touchのメモリー容量は十分とは言えず、またiTunes経由で転送したり削除したりするのも手間がかかる。そういった意味では、無線LAN経由でパソコンやNAS内にある動画を気軽に再生できるメリットは大きい。

 ただ、今回改めて感じたのはDLNAの相互接続性の問題だ。確かに動画フォーマットが多様化している現在、すべてのプレーヤーでそれらをサポートするのは現実的ではないのかもしれない。

 しかしDLNA対応を謳いつつ、サーバーから配信する動画のフォーマットによってはプレーヤー側で再生できないというのは非常に分かりづらい。リアルタイムトランスコードはその解決策となる機能だが、今回(特殊な例ではあるが)iPod Touchで試した限り、まだ改善の余地は大きい。

 物理的なストレージの場所を意識することなく、気軽にネットワーク経由で動画や音楽を再生できるDLNAは便利なだけに、このあたりの改善に期待したいところだ。

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