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.NET Framework 4&Visual Studio 2010で開発環境が変わる

2010年02月10日 10時45分更新

文● 飯島進仁/ふむふむソフト

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ASP.NET 4のスペック ~ホワイトペーパーを見てみよう

 このホワイトペーパーで、ASP.NET 4の全貌を知ることができる。

 目次をざっと眺めると、ASP.NET AJAX 4の機能が多数追加されていることが分かる。ASP.NET AJAXを利用してきた開発者にも、これから試してみようという開発者にも朗報だ。また、JSONP(JavaScript Object Notation with Padding:HTMLのscriptタグでデータを読み込む手段)のサポートが追加された点も嬉しいニュースだろう。

 そのほかにも、ASP.NET 4(または.NET 4)の興味深い変更・新機能が多く盛り込まれている。今回はその中でも先ほど簡単に説明した「ASP.NET MVCフレームワーク」をチェックしてみよう。

 ホワイトペーパーにも書いてあるとおり、ASP.NET MVCはそもそもASP.NET 3.5(SP1)のアドオンフレームワークとして登場したものなので、もうご存じの方もいらっしゃるだろう。今回のバージョンアップで正式機能として追加され、またASP.NET MVC自体もバージョンアップしている。そこで、実際にトレーニングキットで体験してみた。


トレーニングキット ~ハンズオンラボで実際の開発を体験してみよう

 関連サイトの「Visual Studio 2010&.NET Framework 4 Training Kit」の項にあるリンクからトレーニングキットをダウンロードして、VS2010 β2をインストールした環境にインストールすれば、とりあえず準備は完了だ。早速、ASP.NET MVCのドキュメントを読んでみる事にしよう。

 このハンズオンラボ日本語ドキュメントは、概要と演習という流れで構成されているので、そのままフローに従っていくだけで無駄なく学習を進められる。実際の操作方法も「プロジェクトの作成」から記載しているので、Visual Studioの経験があまりない方でも安心して演習に取り掛かれるはずだ。

 また、学習に掛かるおおよその所要時間や「完成済み」アプリケーションも用意されているので、トレーニングキットとしては非常に親切だ。

 なお、ハンズオンラボの種類によって追加要求が存在する場合がある。例えばASP.NET MVCの場合は以下のようなシステム要件となっている(VS2010のセットアップのオプションなどによっては、追加インストールが必要な場合もあるので注意されたい)。

  • Microsoft Visual Studio 2010
  • Microsoft SQL Server 2005 または Microsoft SQL Server 2008(Express Edition以上)
  • ASP.NET 4 AJAX Library Preview 6(ダウンロードとインストール方法はラボ資料に記載)

 このドキュメントでは、ASP.NET MVCを利用してデータの検索やフィルタリング等を行なうWebアプリケーションのサンプルの作成について解説する。

実際の開発の様子

実際の開発の様子

 従来のASP.NETでは、各ページとaspxファイルが“一対一”対応していたが、ASP.NET MVCではその名の通り「Model」「View」「Controllers」というフォルダーがプロジェクト内に存在しており、これらを組み合わせることで画面遷移や入力処理などを実装していくことになる。

 いきなり概念が大きく変わるので戸惑いがちだが、そんな時こそこのトレーニングキットの利点が生きてくる。

 サンプルコードの内容もさることながら、このトレーニングキットの興味深い点は、Visual Studioの得意技「強力なコードスニペット」(頻繁に使うコードを断片管理する機能)にこそある。

 ハンズオンラボ日本語ドキュメントの冒頭では、まずインストールしたトレーニングキットのコンテンツのセットアップを促されるが、これがコードスニペットのためのセットアップのようだ。セットアップが終わると、あとは右クリックでポチポチと「スニペットの挿入」を繰り返すだけで演習ができてしまうわけだ。

でき上がったサンプル「PlanMyNight」

でき上がったサンプル「PlanMyNight」

 実際の開発時でも同様だが、パターン化された記述に関しては少ない手順でどんどん実装を進められるこのコードスニペット。開発者にとって非常に心強い味方といえるだろう。

 ――ということで、実際にハンズオンラボ日本語ドキュメントに沿って演習をしてみたが、何も考えずにやってもサクサクと「とりあえず動くもの」ができてしまうのが面白い。

 この辺は好みもあるだろうが、「実際に動くもの」ができてから「ああなるほど、こういうことか」という発見とともに演習を振り返ってソースを見直す、というのは大変興味深い学習のアプローチだと思う。

 このハンズオンラボには、ほかにもParallel ExtensionsWPF(Windows Presentation Foundation)など、興味をそそるラインナップが用意されている。VS 2010の正式版がリリースされる前に、是非試しておきたいところだ。


著者:飯島進仁(いいじま しんじ)

shinji iijima

株式会社 ふむふむソフト代表取締役。 業務委託でのソフトウェアやWeb開発をメインとして、企画、制作、執筆、開発と全然関係ない講演や制作など、さまざまな依頼にお応えする業務を行なっている。Silverlightなどを使った地味な研究や、一部の方々に好評なガジェットなどをブログにて公開中。


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