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週刊 PC&周辺機器レビュー 第42回

こだわりの国産ネットブックで巻き返し! 富士通 LOOX M

2010年02月05日 12時00分更新

文● 池田圭一

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 M/G30で採用された興味深い試みは、もうひとつある。USB接続によってほかのパソコンから、M/G30のHDDの一部にアクセスできるようにした「USBクライアント機能」である。これは、専用ユーティリティでHDDの空き容量部分に約4GBの領域を確保して仮想ドライブ化し、本体左側面の「USBクライアントポート」(ミニBコネクター)とUSB接続したほかのパソコンから、リムーバブルストレージ(USBメモリー、またはDVDドライブ)としてアクセスできるようにした機能である。

USBクライアント機能の設定画面

USBクライアント機能の設定画面。ほかのパソコンからはUSBメモリーかDVDドライブに見える

ミニBコネクターがUSBクライアントポート

本体左側面のUSBコネクター部。手前側のミニBコネクター(赤枠部)がUSBクライアントポート

M/G30からは通常、リムーバブルディスクとして認識されている

M/G30からは通常、リムーバブルディスクとして認識されているが、ほかのパソコンと接続すると、M/G30側からは見えなくなる

相手パソコンからM/G30のUSBクライアント領域を認識している様子

相手パソコンからM/G30のUSBクライアント領域を認識している様子。FAT32でフォーマットされた約4GBのリムーバブルディスクに見える

 別に用意したノートパソコンから、通常のUSBメモリー(高速タイプ)とM/G30のUSBクライアント領域にアクセスした場合の速度を測定してみた。結果は下のとおりで、書き込みではM/G30のUSBクライアント領域のほうが速かったが、読み込みではUSBメモリーのほうが1.5倍ほど高速だった。HDDへの読み書きとフラッシュメモリーへの読み書きを比較しているのだから、当然といえば当然の結果である。

USBメモリーとUSBクライアント機能の速度比較。「書き込み」は別パソコンからM/G30に、「読みこみ」はその逆のデータ転送。約100MBのファイルを10回転送した平均値で、単位はMbps

 容量が限られることもあって、この機能に「外付けのUSBメモリーを抜き差ししてデータ交換する」以上のメリットがあるのかどうか、今ひとつ理解できない。


 ネットブックが利用されるシーンをうまく想定し、分析した結果がM/G30には反映されている。メーカー保証の範囲外となるが、メモリーモジュールやHDDの交換がユーザーレベルで行ないやすくなったのも、改善点といえるだろう。

底面

底面はメモリーモジュール部分、2.5インチHDDおよび無線LANモジュール部分が個別のカバーで覆われている。空冷ファンユニットも容易に交換可能なのには驚いた

 M/G30の店頭実売価格は、WiMAX内蔵モデルが6万円弱、Office付属モデルで7万円弱といったところ。ユーザーニーズをうまくまとめた日本産のネットブックとして、なかなか魅力的な1台と言えよう。

FMV-BIBLO LOOX M M/G30 の主な仕様
CPU Atom N450(1.66GHz)
メモリー 1GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 10.1型ワイド 1366×768ドット
ストレージ HDD 250GB
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1
インターフェース USB 2.0×3、USBクライアントポート、アナログRGB出力、10/100BASE-TX LANなど
サイズ 幅270×奥行き189×高さ35.2mm
質量 約1.2kg
バッテリー駆動時間 約5時間
OS Windows 7 Starter
価格 オープンプライス(実売価格 7万円弱)

筆者紹介─池田圭一

月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。


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