豊富すぎる付属ソフトはCULVノートに適切か?
コスト制約が厳しくプラットフォームもほぼ固定されるCULVノートでは、デザインの次に差別化の要因となるのがソフトウェア面だ。VAIO Yでは2010年春モデル共通の独自ソフトを多数揃えている。
例えば、パソコンのトラブルシューティングやメンテナンス、ユーザーサポート関連の機能をまとめて提供する「VAIO Care」と、それをワンボタンで呼び出す「ASSISTボタン」の搭載は、2010年春モデルのVAIOノートの多くと共通の特徴となっている。また、デスクトップ画面上部に張り付き、必要に応じて付属アプリケーションを呼び出せるランチャー機能「VAIO Gate」も、VAIO独自のアプリケーションとして差別化の一翼を担う。
そのほかにも統合メディア再生ソフト「Media Gallery」や、動画・静止画管理ソフト「PMB VAIO Edition」、さらにOffice Personal 2007など、独自アプリケーションや他社製アプリケーションを豊富にプレインストールしている。
しかし、家庭のメインマシンとしても使われる大型ノートならともかく、パーソナルユースが主体で、メインよりもサブマシンとしても使われるケースの多いであろうCULVノートでは、ここまで多くの付属ソフトが必要なのだろうかという疑問を感じる。Atom搭載のネットブックに比べればはるかにマシだが、CULVノートのCore 2 Duoは、今となっては速いCPUではない。未使用ならほとんど処理能力は使わないとはいえ、多数の常駐ツールを見るとちょっと首をかしげてしまう。
例えばInternet Explorer 8(IE8)に組み込まれるツールバーの多さは、むしろユーザーの使用感を悪くしかねない。下の画面は最大化したVAIO YのIE8だが、赤枠の部分はプレインストールされた各種ツールバーで、オレンジ枠の部分がウェブページの表示エリアである。ツールバー領域が縦方向を占有して、肝心のウェブページ部分がこれしかない。画像は最大化状態だからまだましで、IE8を起動した直後のウインドウ表示では、ウェブページが少ししか見えなかったりする。いくらなんでもこれはやり過ぎだろう(これはVAIO Yに限らず、ほとんどのVAIOノートで同じ)。
「あれもこれも入れれば便利になる/差別化になる、に違いない」という気持ちはわかるが、その結果使用感を悪くしては意味がない。もう少し製品の性格に合わせたアプリケーションの選択をしてもらいたい。
★
CULVノートは「低価格で実用性が高い」という点が好まれ、ノートパソコンの新たな激戦区となりつつある市場だ。一方で、コスト重視でコンポーネントの種類も限定されるだけに、性能面での差別化は難しい。そうなると、差別化要因は搭載ソフトかデザインの違いになってくる。
VAIO Yシリーズは「CULVノートをどう差別化すればいいか」を、よく考えて作られた製品と言える。かつては20万円近くしたノートのデザインや質感を、CULVノートにうまく落とし込んでいる。豊富な搭載ソフトについては、善し悪し両面あるように思うが、デザインでの差別化という点では、うまく意図を実現できたのではないだろうか。低価格を武器とする台湾勢のCULVノートとどこまで戦えるかが見物である。
VAIO Y VPCY119FJ/Sの主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core 2 Duo SU9400(1.40GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | Intel GS45 Expressチップセット内蔵 |
ディスプレー | 13.3型ワイド 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 500GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1 |
インターフェース | USB 2.0×3、HDMI出力、アナログRGB出力、IEEE 1394、10/100/1000BASE-T LANなど |
サイズ | 幅326×奥行き226.5×高さ23.7~32mm |
質量 | 約1.78kg |
バッテリー駆動時間 | 約9時間 |
OS | Windows 7 Home Premium 64bit版 |
価格 | オープンプライス(実売価格11万円前後) |
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