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上海万博に合わせ遣唐使船を再現、映画化も?

2010年01月22日 20時30分更新

文● 伊藤 真広

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 630年から834年までの200年以上にわたって遣唐使が使用していた船を再現する“遣唐使船再現プロジェクト”の記者発表がグランドプリンスホテル赤坂で行なわれた。再現した遣唐使船は、今年の5月から中国・上海で開催される“上海万博”で行なわれるジャパンウイークでのお披露目を目指している。

遣唐使船の建造費は1億2千万円。全長30m、全幅10mで船籍は中国。乗員も中国人になる予定だ

 遣唐使船は、現代船をベースに当時の様式などを再現し、推進力には帆やオールなどを使用する。現在中国・蘇州で建造されており、4月下旬から5月上旬に完成したのち、日本に輸送され5月15日に大阪港を出航。当時の遣唐使船を建造した広島県の呉港や、遣唐使たちが東シナ海を渡るのに風待ちをした五島列島などを自走したのち長崎港に戻り、台船に乗せられて上海に輸送、6月12日のジャパン・ウイーク初日に入港式を実施する。

“遣唐使船再現プロジェクト”は、万博の成功に寄与することを目的とした文化交流事業で、主催は角川財団。記者発表会では、実行委員会関係者らが遣唐使船への思いを語った

 記者発表には、中国側のゼネラルプロデューサーで、上海万博公式PR映像の監督も務めた映画監督の陳凱歌(チェン カイコー)氏、日本古代史の第一人者である京都大学名誉教授の上田正昭氏、遣唐使として入唐した空海を主人公にした「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」の著者にして、再現される遣唐使船の名誉船長に任命された夢枕獏氏、同プロジェクト実行委員の森ビル代表取締役の森稔氏、日本側ゼネラルプロデューサーの角川歴彦氏、本プロジェクトの名誉会長の読売グループ本社代表取締役会長の渡邉恒雄氏の代理人で、読売新聞代表取締役の内山斉氏の5人が登壇したほか、経済産業省の大臣官房審議官の片瀬裕文氏も姿を見せて、同プロジェクトに向けてのメッセージをそれぞれ語った。

「唐で学んだ多くの留学生が持ち帰った文化の中には、現在の中国では失われたものが多数ある。それらの文化が現在の日本に多く残っていることはすばらしい」と語る陳凱歌氏

「本プロジェクトは、上海万博のみならず、奈良遷都1300年にも大きく関係しており、歴史的にも大変意義のあるもの」と上田名誉教授

夢枕獏氏は、名誉船長に就任するにあたり「当時の文化を再現するというプロジェクトに大きな意義を感じて船長を引き受けた」とコメント

角川氏は「戦争ではない平和文化交流を200年以上も続けた遣唐使を、平成の時代に行なうことは日中にとって重要なこと」と話した

「現代の日本と中国の未来関係の架け橋になる」と話したのは、渡邉恒雄氏の代理で登壇した内山氏

森氏は「プロジェクトを通じて、すでに万博に参加しているつもり」と、本プロジェクトへの意欲を語った

「上海万博の日本館のメッセージは“繋がろう未来のために”。世界中が手を取り合い平和的に問題が解決できることが期待できる」と片瀬氏

プロジェクトの親善大使を務める俳優の渡辺謙氏は「大和朝廷から送り出された遣唐使たちが持ち帰った文化は、日本文化に根付いていることを忘れてはいけない」とビデオメッセージを寄せた

 なお、上海万博終了後の船について、日本側ゼネラルプロデューサーの角川歴彦氏は「夢枕獏氏原作の小説を元に、陳凱歌氏が監督を務め、親善大使の渡辺謙さん主演で映画を作りたい。まだ決定していないため、“作りたい”ということで……」と語った。

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