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週刊 PC&周辺機器レビュー 第40回

Core i5で快適なスリムタワー Endeavor MR4000

2010年01月22日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

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CPU内蔵グラフィック機能の性能は意外に高い?

 MR4000はチップセットにIntel H57 Expressを採用。Lynnfieldことクアッドコアの「Core i7/5」と、Clarkdaleこと「Core i5/3」「Pentium G」など、豊富なCPUをサポートしている。評価機はグラフィックス機能をCPUに内蔵するCore i5-661(3.33GHz)を搭載しているが、グラフィック機能のないLynnfieldを搭載する場合は、注文時にグラフィックスカードを選択する必要がある。

 Windows 7のエクスペリエンスインデックスは、基本スコアが「5.2」。これだけだとたいした性能ではなさそうだが、Core i5-661はミドルレンジのCPUとはいえ、最新型だけあり「プロセッサー」のスコアは「7.1」と高い(Windows 7の最高値は7.9である)。メモリーはPC3-10600(DDR3-1333)を8GBも搭載しており、こちらもスコアは「7.1」と高い。

Windows 7のエクスペリエンスインデックスのスコア

Windows 7のエクスペリエンスインデックスのスコア

 「グラフィックス」は5.2、「ゲーム用グラフィックス」は5.5で、内蔵型のグラフィック機能を搭載している割には高性能だ。内蔵GPUの動作クロックが、900MHzと高速化されている効果だろうか。これなら、軽めの3DゲームやCADソフトなども、ごく普通に動作するだろう。

 「プライマリHDD」のスコアは5.9。評価機のHDD容量は1TBで、HDDベンチマークソフト「CrystalDiskMark 2.2」による連続読み込みは約108MB/秒、連続書き込みは約93MB/秒と、なかなか高速だ。注文時にオプションで2台目のHDDを搭載し、RAIDを組むこともできる。500GBのHDDを2台で1TBのRAID 0ボリュームを構成すれば、圧倒的な高速アクセスが可能になる。RAID 1なら250GB/500GB/1TBが用意され、2台のHDDにより冗長性を確保できる。コストの問題かもしれないが、1TB×2で2TBのRAID 0ボリュームが選択できればよかったのだが。

 参考に各種ベンチマークソフトの結果も紹介する。なお、PCMark Vantageは64bit版の結果を載せているが、こちらの関連記事でのLynnfield搭載機(グラフではEndeavor Pro4700とHP e9280jpを使用)と比べても、総合スコアと3つの項目で上回るほどの性能を示した。CPUやグラフィックス性能が効く項目はそれほどでもないが、Clarkdaleの世代で導入された暗号処理命令が効果を発揮する「Communications」の項目が極端に高いため、総合スコアを引き上げたようだ。こちらのCore i5-661のテスト記事でも同様の傾向を示しているが、総合スコアが高いからと言って、パソコン全体のパフォーマンスがLynnfieldを上回るわけではない。ちなみに32bit版でも計測してみたところ、HDDのスコアだけは32bitのほうが優れていた。

PCMark Vantageの計測結果

PCMark Vantageの計測結果。比較対象については上記関連記事を参照のこと

3DMark06の計測結果

3DMark06の計測結果(赤枠内)

CrystalMark2004R3の計測結果

CrystalMark2004R3の計測結果


64bit OSで8GBの大容量メモリーを活用

 評価機のOSは、コンシューマー向けのWindows 7 Home Premiumを採用するものの、64bit版を搭載している。32bit版ソフトウェアも普通に動作するうえ、64bit専用に設計された3D CGソフトなどは動作も高速になる。ハードウェアのデバイスドライバーはまだ32bit版ほど充実していないが、今後は各メーカーも積極的にサポートするだろう。なにより、4GB以上のメモリーをフルに活用できるのがうれしいところ。動画編集やRAW画像のレタッチ、仮想OSの複数起動などを行なう際は、パフォーマンスが段違いに向上する。

 実際に、しばらく使ってみたが、操作感は快適そのもの。ヘビーなソフトも軽々と動作する。高解像度の3D CG処理はやや重くなるが、そこは内蔵グラフィックなので、妥協のしどころ。ばりばりゲームするならグラフィックスカードを追加しよう。

 最小構成は、CPUにPentium G6950(2.80GHz)、CPU内蔵グラフィックス、メモリーは2GB、HDD 250GB、DVD-ROMドライブなどで6万4800円。試用機の構成では9万7440円となる(編注:価格は記事執筆時点のものです)。このスペックで10万円を切るコストパフォーマンスは見逃せない。

 利用するソフトやハードの関係で32bit版Windows 7を利用するなら、もう少し価格を抑えられる。メモリーを8GBから2GBにすれば、それだけでマイナス5040円。HDDを1TBから250GBにすれば、ここでもマイナス8400円。これで7万9170円と、8万円を切る。オプションで19型液晶ディスプレーを付けても、10万円以内で買える。

 ノートパソコンがパソコンの主流とはいえ、費用対性能で比べれば、圧倒的にデスクトップの方が優れている。自宅のメインマシンを物色しているなら、快適に末永く使えそうなMR4000は有力候補となるだろう。

Endeavor MR4000(試用機構成)の主な仕様
CPU Core i5-661(3.33GHz)
メモリー 8GB
グラフィックス CPU内蔵
HDD 1TB
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
サイズ 幅98×奥行き405×高さ357mm(スタンド除く)
OS Windows 7 Home Premium 64bit版
価格 9万7440円(本稿執筆時点)

筆者紹介─柳谷智宣

1972年生まれ。Netbookからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。現在使っているノートPCは、東芝のSS RXとMac。とはいえ、1年以上前の製品なので、買い換えを思案中。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、PCやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)。


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