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Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第6回

日本デジタルオフィス「DO!Cat」

大阪発の頭抜けた技術力でPDFカタログを自在に操る

2010年02月03日 15時00分更新

文● 塩田紳二

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 まずは下の動画をご覧いただきたい。Windows 7のマルチタッチ対応PCで、PDF形式のカタログファイルを一覧表示したところだ。ここで見開きページから写真を範囲指定して切り出し、別の文書に貼り付けている。その写真が、ページをまたいでいるにもかかわらず、貼り付けた後は正しく1枚の画像になっている点に注目だ。


 今回は、業務用ドキュメント管理システム「DO!Cat」を手がける日本デジタルオフィスを訪れて、Windows 7やSilverlight対応について伺った。同社は、PDFの高速表示が可能なドキュメントブラウザーや、PDFからWebページカタログを自動生成するシステムなどを開発している。

 同社は大阪に本社機能と開発・営業部門があり、東京に中心となる営業部門を持つ2拠点体制を敷いている。このインタビューは大阪・野田の本社にて、本社営業部部長の池田光生氏、第一ソリューション事業部開発部マネージャの三間俊之氏、第二ソリューション事業部DO!Cat営業部の村尾洋美氏に話を聞いた(以下敬称略)。


Silverlightを活用したデジタルカタログの進化形

三間俊之氏と村尾洋美氏

第一ソリューション事業部開発部マネージャの三間俊之氏(左)と第二ソリューション事業部DO!Cat営業部の村尾洋美氏

―― DO!Catシリーズが開発された経緯を教えてください。

池田 もともと我々は、建築関連の見積もり書作成システムの開発からスタートしました。工務店の見積書では、建築物や住宅などに使う建具などをメーカーのカタログから切り抜いて図版として入れています。この点が、通常の企業の見積書とは大きく違うところで、大量の画像が含まれるわけです。そこで我々は、カタログなどをPDF化して、多数のページから必要なものを簡単に探せるDO!Catという製品を作りました。

 この製品では、ページを拡大縮小して1画面に並べることで、すばやく目的のページを見つけられるように工夫しています。この表示にSilverlightを利用しています。また、一覧表示とは別にページをめくっていく、冊子風のビューアーもあります。マニュアルなどは表紙から順に見ていくことが多く、このほうが便利だからです。こちらはFlashで作っています。

Silverlightで一覧表示から1ページ単位まで、シームレスに拡大縮小できる多機能電子カタログソリューション「DO!Cat SV」。右は、見開きの2ページにまたがる写真を範囲選択しているところ

 具体的な製品としては、「DO!Cat SV」という情報公開と再活用のための文書管理システムがあります。先ほどの画面はそのビュアーで、こうした表示機能に加えて、ページの一部切り取りや検索が可能です。ユーザーは必要な情報をスクラップブックのように収集し、ZIPファイルにまとめてダウンロードしたり、プリンターに直接印刷もできます。いわば、多機能な電子カタログというわけです。


Silverlight 3にマルチタッチを先取り

三間氏

開発部マネージャの三間氏

―― Silverlight技術を採用した理由は何でしょうか。

三間 DeepZoomの機能により、サムネイルの表示速度が圧倒的に高速であることが最大の理由です。結果として、開発が容易で工数が減るというメリットもありました。

―― Silverlight以外で、Windows 7の新機能に対応した部分はありますか?

三間 Windows 7のマルチタッチにも対応しています。実は、現在採用しているSilverlight 3ではマルチタッチ機能を標準サポートしていないため、自分たちでライブラリーを作ってジェスチャーを判別しています。まもなく登場すると言われるSilverlight 4では実装されると聞いているのですが、現在はベータ版なので今はSilverlight 3上で実現させました。

―― なぜ、Silverlight 3が対応していないジェスチャーを組み込んだのでしょうか? Silverlight 4の登場まで待つという選択肢もあったのでは?

三間 こうした製品は、やはり多くの皆さんが触って楽しいかどうかという点が重要だと考えています。もちろん製品ですから、実用性や便利さ、作業効率が上がるといった部分も重要ですが、それらを実現した上で大きな差別化ができる点として、やはり“触って楽しい”部分があるべきだと考えます。そこが製品の付加価値にもなりますから。

 新製品の仕様を検討したときに、マルチタッチを取り入れることで操作自体が楽しくなると思ったのです。さらに、滑らかな拡大縮小表示など操作感を上げるにはSilverlightを使うべきで、これらを組み合わせるとより楽しさが増大します。特にショールームなどでの利用を想定すると、家族連れのお客さまに「触ってみて楽しい」というのは大きな要素になるでしょう。

 そういう事情から、Silverlight 3が未対応のジェスチャーなどを自分たちで開発して、対応することにしました。

全文検索や付箋(メモ)の添付も可能だ

―― ジェスチャー対応も独自開発ですか!? 期間はどれぐらいかかったのでしょう?

三間 PDFを扱う部分などは、これまでに作ってきたエンジンが利用できるため、純粋にSiverlightやマルチタッチの実装作業だけでした。ジェスチャーには3日ぐらい、いろいろ悩みましたね。ドキュメントもほとんど記載がなく、試行錯誤の連続でしたが、動作原理が分かってからは1週間程度でできました。

 だいたい、1つの機能を作るのに1ヵ月ぐらいというところでしょうか。開発は、Silverlight 3の最新モジュールをNDA契約のもとに利用させてもらいました。

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