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人気ボカロPV作家が語る、どん底からの再出発

2010年01月22日 12時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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頭の中に流れてくるPVを、After Effectsに出力するだけ

―― ボカロのPVを作るときは、どれくらい構想に時間をかけるものなんですか?

「飛んで来たものを返す」を続けた結果、短期間でとてつもない数のPVが生まれている。画像はほんの一部

三重 曲を聴いていると並行して頭の中にPVが流れてくるので、それをAfter Effectsに出しているだけなんです。こういうことをPVでやりたいなという結論が出てくるので、最終的にそこにつながるようなイメージで作っています。

―― 飛んで来たものをとにかく返すと。

三重 スポーツと一緒なんです。最初は練習しないとだめなんですけど、そのうち勝手に出来るようになるんですよ。野球だったらバットを振る時「最初に叩きつけて、インパクトのあとに押し出す」というのが基本なんですけど、初めての人は下からバットが出てくる。それが慣れてくると、何も考えなくてもそうなってくる。

―― それは野球部の経験から来ている……というよりはゲームの映像制作があったからなんですかね。

三重 そうですね、そうしないと間に合わなかったという状況だったので……。ゲームのデモムービーの場合、1ヵ月に7本作っていたこともありました。あの時代にイヤだと思っていたものが役に立ってしまっている。最初のうちは「これはこうするのかな」と考えるタイミングがあったんですが、そのポイントが省略されていくんですよね。

―― 映像の作り方は職場で「師弟伝授」みたいな形で教えてもらったんですか?

三重 いえ、それはまったくないです。「聞くヒマがあったら手を動かせ」という感じ。だから(他の人がやっているときに)ジーッと見て、「あっ、これか」という。お互いのことを構っている余裕がない。サバイバルゲームですね。

―― 趣味の時代と同じように、技術そのものは頑張ればコピー出来るだろうと。

三重 だから(作家同士で)飲みに行くと、技術よりも作り方の話になるんですよ。こういう演出は感情的にこういう効果になるとか。どういうカメラワークにして、人間のどのあたりを映したらいいとか。技術的なところはやっていれば出来ちゃうわけですから。

―― ボカロのPVを作りはじめたときは、次の仕事も始めていた?

三重 映像以外の仕事をしながらですね。仕事から帰ってきて作って。平日の睡眠時間は5時間くらいで、休日に10時間くらい寝て、という生活になりました。

―― で、昨年末にそこを辞めて再び映像の仕事を受けはじめたと。コンピCD「Vocalolegend」では、収録曲の15秒CMを16本作るという荒ワザをこなしてますね。

三重 話をもらって、10日くらいで作りました。すごく悩んだのが「悪ノ娘」です。素材が1枚絵だけで、しかも切り抜けない。「No Logic」も1枚絵というか、文字のみ。悩んで風来のシレンをやっていたとき、「紙飛行機を入れよう」と思いつきました。

―― 迷ったらシレンやっとけと。ゲームのムービーでもそういうことはありそうですね。

三重 ありましたね、「立ち絵2枚だけで持たせてくれ」とか……。そうそう、CMは1本ずつだと見づらいんですが、「悪ノ娘」からジャンプ機能でまとめて見られるようにしていただいています。よければ見てみてください。

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