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林信行が語る「2010 知っておくべき10のトレンド」【中編】

2010年01月20日 18時30分更新

文● 林信行

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4位.Ustream

 2009年、予想以上に利用が広がったのがライブ中継サービスの「Ustream」だ。広がった要因はいくつかある。

 ひとつはUstreamがTwitterをうまく活用していること。Ustream番組を見ながら、Social Streamという欄に感想を書き込むと、その書き込みが番組のURLと一緒にTwitterにつぶやかれる。Ustreamを知らなかった人でも、Twitterを使っていればすんなりUstreamに入ってこられるわけだ。ご存知のように2009年はTwitterの当たり年なので、それに併せてUstreamの知名度も爆発的に上がった。

Ustream

Ustreamの視聴画面。Twitterのアカウントでログインすれば、この画面で書き込んだコメントがTwitterにも投稿される

Ustream Live Broadcaster

Ustream Live Broadcaster

 もうひとつはiPhone向けアプリ「Ustream Live Broadcaster」のリリースだ(iTunes Storeで見る)。同アプリとiPhoneさえあれば、電波の届く限りどこでも世界に向けてライブ放送ができる。しかも、このアプリは本来、ビデオ撮影に対応していないはずのiPhone 3Gでも取り込みとサーバーへの録画が可能だ。

 同アプリのリリース後、友達同士がビリヤードをやっている姿やスケートボードをしている様子、飲み会の中継といった放送が爆発的に増えた。他愛ない内容と言われればそうかもしれないが、映っている相手が自分の友達となると、それはそれで興味深い番組になり得る。

 なお、日本はiPhone用の3G通信インフラが最も整備された国ということもあって、日本からのライブ中継が増えたことも特筆すべきかもしれない。


Ustream周辺の整備が望まれる

 今後はUstreamでの実況を専門にしたメディアも登場し始めるかも知れない。そうなったときに重要なものがいくつかある。

 ひとつは、より本格的な実況ツールだ。例えば同じ番組内で複数のカメラを切り替えたり、録画済み映像を番組中に織り交ぜたりするツールがあれば、より本格的なテレビに近い構成の番組が作れるようになる。

 もうひとつ必要なのは、面白い放送を紹介するガイドやナビゲーターだ。Ustreamでは、テレビとは比べ物にならないほど多くの番組があり、すべてを見ることは不可能。ほとんどの人はライブ中継の魅力に惹かれて、実況中の番組は見るが、録画済みとなるとよほど深い内容のものでないと振り返ってくれない。

 このためUstreamの番組告知は、同じくライブ感の強いTwitterだけで十分とする向きもあるが、一方で音楽ライブのような大型番組については、あらかじめどこかでチェックして予定を空けておきたい。2009年は、前編でも触れたKISSのライブ中継だけでなく、Black Eyed Peasがシカゴで実施したライブの楽屋が放映されて話題を呼んだ。

 Ustreamは、今まさにノリにのっている企業。今年はインパクトでUstream Live Broadcasterに負けないような、新ツールの登場が期待できそうだ。


筆者紹介──林信行


林信行氏

林信行氏

 フリーランスITジャーナリスト。「iPhoneショック」(日経BP)の筆者。大学や企業で講演をしたり、製品/技術開発のブレインストーミングに参加することも多く、製品コンサルタントとしての顔も持つ。ジャーナリストとしては、デジタル技術によって変わる人々のライフスタイルやワークスタイルに大きな関心を持つ。ハード、ソフト、ウェブの技術だけでなく、アートやデザイン、コンシューマーやIT系企業の文化についても取材/執筆活動をしている。

「MACPOWER」「MacPeople」元アドバイザー。著書に「スティーブ・ジョブズ ー偉大なるクリエイティブディレクターの軌跡」(アスキー・メディアワークス)、「アップルの法則」(青春出版)、「アップルとグーグル 日本に迫るネット革命の覇者」(共著、インプレスR&D)など。自身のブログは「nobilog2」。




※後編は、お待ちかねトップ3の発表!




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