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第4回 和歌山編

紀州塗500年の変遷とWebの可能性

漆器の「四大産地」紀州をWebで発展させるには?

2010年01月19日 00時00分更新

文● Web Professional編集部

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小売りに展開後の作戦が難しい

 角田清兵衛商店がネットショップに進出したのは2001年。大手ネットモールに加入し、2年ほど継続した。しかし、「計算するのも恥ずかしいくらいに売れなかった。だが、良い勉強をさせて貰った」という。とはいえ独自ドメイン店として再出発したのは「自社を他の人の手を借りずにピーアール出来るのと、小売りの方が利益率がいい」からだ。卸売業では小物インテリアやトレー(お盆)やお椀やお箸の出荷数が多いが、漆器や木製品だけでは中々事業を拡大できない。漆器を中心とした品揃えで「ネットショップで売れています」といえるようにするのが当面の目標だという。

 ネットショップではオリジナルブランド「seibee」に力を入れているほか、姫鏡台や格子ミニ屏風など、漆器にはこだわらない商品展開でアイテム数を拡大している。本業の漆器問屋業で、「数年前だったかな?新規取引の申込書にURLを書く欄が出来き、問屋でも自社をアピール出来るホームページを持っていないとこれからの商売に乗り遅れると思いホームページを作った」のが自社ドメインを持つようになったきっかけだそうだ。

ネットショップでの売れ筋商品「白木ワッパ弁当箱」 ネットショップでの売れ筋商品「白木ワッパ弁当箱」

 角田清兵衛商店のような卸業の場合、消費者相手の小売(B2C)サイトを作ると、企業同士の取引(B2B)が新規に始まる事例が多いと聞く。この点を角田氏に尋ねると、「ホテルや運輸関係、その他の企業から問い合わせが入るようになった」という。まだ大きな成約には至っていないが、ネットショップから大規模な取引が始まるのも遠くないだろう。


レンタルサーバー業者はどんなサービスを提供するべきか?

 角田清兵衛商店が利用しているのは、ファーストサーバの「ギガント2」というサービスだ。現行のサービスでは「メジャー・コース(エコノミー・シリーズ)」に相当し、OneStyle My Shopのカートレンタルプランを併せて、ネットショップを運営している。

 レンタルサーバーやショッピングカートとしてのサービスには満足しているそうだが、「小売りに展開後の作戦が難しい。どうしたら漆器が売れるのか」が角田氏の最大の悩みだ。漆器関連のキーワードでリスティング広告を出しているが、日用品でなくなった漆器は検索ボリュームも大きくなく、「ネットショップで売れています」といえるようにしたい角田氏の目標を直接実現する手段にはならないだろう。

 おそらく、こうした悩みは全国のネットショップが持っているはずだ。レンタルサーバー業者がビルのオーナーだとしたら、ビルオーナーはテナント企業にどんなサービスを提要できるだろうか。両者は、テナントが潤えばビルオーナーも潤うWin-Winの関係にあり、何か協力できることがあるはずだ。

 たとえば、関係の深い商品を扱う企業同士を結びつけ、季節のテーマに合わせてキャンペーンサイトを作り、共同でリスティング広告を出すサービスを提供したり、ファーストサーバがYahoo!グループであることを活かして、ショッピングカート利用者にYahoo!ポイントを付けたりするのはどうだろうか。シュロにしても漆器にしても、時代に適応して数百年間、地元の経済を支えた産業は、必ずWebにも適応できるはずだ。Web業界もこうした地場産業をサポートし、何百年も続くように努力していくべきだろう。


■角田清兵衛商店が利用しているファーストサーバのサービス

コース名 メジャー・コース(エコノミー・シリーズ)
ディスク容量 40GB
初期費用 5250円
月額費用 2625円
メールアドレス数 20~ 追加可
※角田清兵衛商店が利用している「ギガント2」は新規提供を終了しており、該当する現行サービスである「メジャー・コース(エコノミー・シリーズ)」の仕様

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