40年前から実績がある?
IBMのクラウド技術
これだけの発表をしたとはいえ、昨年以前の日本IBMが、クラウドに対してなにもしていなかったわけではない。むしろ、公開されている導入事例が55にのぼり、11万人の研究/開発者が2年以上にわたって社内クラウドを使用しているという実績を、IBMは持っている。
吉崎氏は、IBMの考えるクラウドコンピューティングは、「仮想化」、「標準化」、「自動化」の3つの技術要素によって実現されるとしているが、40年間動き続けているメインフレームの仮想化技術や、2007年から本格化したオートノミックコンピューティング(自動化)など、こうした要素はすでにIBMが培ってきたものだ。
こうした背景をふまえ、クラウド分野におけるIBMの強みを、以下の4つにまとめて紹介した。
技術リーダーシップ
前述した40年の実績を持つ仮想化技術のほか、Tivoliなど、クラウドに必要な自動化やプロビジョニング、セキュリティを自社で保有しているのが強み。また、プロセスとITサービス標準化のための経験や技術も保有しているため、既存のIT環境からどの部分を切り出してクラウド化するのか、また、プライベート/パブリックの使い分けをどうするのか? という判断が明確になる。今まで使われてきたレガシーの技術が分かるからこそ、切り分けも可能ということだ。また、クラウド環境をハードウェアで丸ごと提供するIBM CloudBurstなど、クラウドの短期立ち上げも可能だ。
ソリューションポートフォリオ
IBMが保有する50以上のアプリケーションを調べ、実際のデータを元にして“クラウドのスイートスポット”、つまり、どのような分野がクラウドに向いているのかを割り出してマッピングした。
もちろん顧客の業界によっていろいろと違ってくるのだが、こうしたロードマップを作成したことで、より顧客企業のクラウド戦略が明確になる。
豊富なクラウド導入実績
上述したとおり、公開事例だけで55件、200以上のプロジェクト経験を持つ。こうしたことから、クラウド化による効果が実証済みの提案も可能となる。
グローバルの英知とスケール・メリット
スケールメリットが出せるのは、やはりグローバルだ。IBMクラウド・コンピューティング・センターでサービスを提供する。クラウド検証センターが10個所、クラウド・データセンターが9個所用意されている。
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今回の発表の目玉であるTeam Cloudは、現在の300人を1000人にするのが目標。また、日本IBMは、今後5年間で100億円をクラウド人材に投入するという。