将来的には+αのオプションでマネタイズも
現段階では使ってもらうことが先
――ServersManは現状アプリもサービス自体も無償で提供されていますが、採算についてはどうお考えでしょうか。
三沢 今後も、基本的には無償での提供を続けたいですね。とはいえ、どこかの時点からマネタイズを図っていかなければなりません……。具体的には独自ドメインの提供、容量など+α部分のオプション化、といったところでしょうか。現在の段階では、とにかく広める、知ってもらう。これに尽きます。
――先ほどお話しのあったServersMan@CASですが、2種類用意されているそうですね。
三沢 個人向けと法人向けで分けています。製品のカラーリングは個人向けが白、法人向けが青紫です。ServersManのWebサーバとしての機能のほか、データセンターとしての信頼性を確保するためにバックアップ回線接続機能とバックアップストレージの増設オプション、そしてトラブルからの早期回復を図れるようリモートサポートなどを、付加サービスとして提供します。
キャラクターの色も、個人向けが白、法人向けが青紫で分けています。なぜ青紫にしたかですが……NAS(ナス)つながりということで。
――ところで、ServersMan@CASならではの機能というものはあるでしょうか。
三沢 現在、iPhoneや携帯電話で撮影した写真がそのまま自宅のHDDに保存される、というアプリケーションの開発を進めています(「Scooop」として12月25日に正式サービス開始した)。
iPhoneとServersManの組み合わせでは、(他のユーザーに)「見に来てもらう」ことも不可能ではありませんが、電波の状態などタイミングの問題があります。一方、ServersMan@CASはHDDにデータを保存しておけば常時通電されていますから、iPhoneや携帯電話の電源が切れても写真を見せることができます。同じURLで参照できますし、メモリ容量を気にする必要もありません。
対応するプラットフォームですが、iPhoneのほかに、ドコモの端末(iアプリ)とEye-Fiを予定しています。Eye-FiとSDカード対応のデジタルカメラがあれば、無線LANの有効圏内からほぼリアルタイムに写真を公開できるわけです。
――iPhoneと他のスマートフォンを比較してみると、展開の方向に違いはありますか?
三沢 スマートフォンに限定していえばiPhoneと同じです。ただWindows MobileとAndroidは外部ストレージにアクセスできるので、その領域も公開するという使い方が可能になります。iPhoneとは異なり、バックグラウンドプロセスを使えるので、Webサーバとして機能させながら音楽を聴く、といったこともできますね。
――ServersManの今後の展開について教えて下さい
三沢 弊社は2009年9月にデジタル家電メーカーのエグゼモードを買収しました。こちらの分野では、写真や動画のビューアーなど、デバイスに応じた機能をAndroidベースで組み込んでいくことになるでしょう。iPhone版は先頭バッターとして、今後もがんばっていきます。ただ、マルチプロセスが利用できないのは痛いですね……。
もう少し先の話ということでしたら、ServersManを中心に世界が広がるなにかを計画していきたいです。ServersManはデジタルハブ的なもの、ユビキタスハブ構想に基づいて展開していきます。
ところで、YouTubeに「ServersMan」というアカウントで数本のデモを投稿しています。社内では黄色のシャツが「Mr. ServersMan」、赤色のシャツが「Mr. Air××」(競合製品のため伏せ字)と呼ばれています。続編も計画していますので、今後に御期待ください。
筆者紹介──海上忍
ITジャーナリスト・コラムニスト。アップル製品のほか、UNIX系OSやオープンソースソフトウェアを得意分野とする。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊、Amazon.co.jpで見る)など。
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