表示をその場で手に取れるフォトフレーム
ソニー DPP-F700
ここ数年、フォトプリンターは液晶を大型化して印刷時以外にもフォトフレーム的に利用できるようにしたものが増えてきている。同社のプリンター「DPP-F97」(本機の発売とともに生産終了)もスライドショー表示が可能な3.5型液晶パネルを装備するなど、フォトフレーム的利用を意識した製品だったが、ソニーの「DPP-F700」(実売2万5000円前後)はフォトプリンターを内蔵するフォトフレームという位置づけ。フォトフレーム利用を強く前面に押し出したものとなっている。
本体は箱型の本体とヒンジで繋がった液晶パネルで構成され、液晶は本体と平行、または約45度まで立てて利用することができる。
7型(有効表示サイズは6.8型)の液晶パネル(800×480ドット)を搭載。薄いのが特徴的な同社のフォトフレームからするとやや大きい印象を持つ。とはいえ本体が薄くても設置時は後部にスタンドが突き出しているのに対し、本機の場合、横置き時にはスタンドが要らないこともあって(縦置き時はスタンドを差し込むようになっているものの、スタンドなしでも自立する)思いのほか机や棚の上に置きやすく、液晶角度の自由度も高い。
フォトフレームとしての機能は同社のフォトフレーム(DPFシリーズ)とほぼ同様で、画像への各種補正、縦横自動回転などを備え、なによりスライドショーや時計・カレンダーの表示は豊富なバリエーションパターンが用意されていて飽きさせない。
1GBの内蔵メモリーおよびSD/CF/xDピクチャーカード/メモリーステックスロットなどを装備し、カード内の画像をそのままスライドショー表示できるほか、本体内メモリーに転送することもできる。転送時には自動的にリサイズ(1920×1440ドットになる)するように設定することも可能で、余分なメモリーを消費しないようになっている。
また、パソコンとUSB接続した場合には本体内メモリーをマスストレージデバイスとして扱うこともできるが、パソコンから見えるのは本体内メモリーのみで、メモリーカードは認識されない。
内蔵プリンターは昇華型熱転写式で、印刷解像度は300×300dpi。用紙サイズはポストカードサイズ(101.6×152.4mm)、Lサイズ(89×127mm)となる。印刷時間はL判で約39秒、ハガキサイズで約45秒だ。
印刷機能の利用は非常に簡単で、1枚表示またはスライドショーの画面でメニューから「印刷」、もしくはリモコンの「印刷」ボタンを押せば即座に印刷メニューに移行し、複数の画像を1枚に印刷する「分割印刷」や、カレンダー付きの印刷、証明写真用印刷モードなどを選べる。
さらに印刷メニューとして用意されているカレンダー+画像の印刷機能のほかにも、通常のカレンダーや時計と画像を並べて表示している際に印刷ボタンを押せば、画面のレイアウトのまま印刷できる。デスクトップに飾るカレンダーなどはその月その月に気軽に印刷できて面白い。また、パソコンと接続すればプリンターとして印刷することもできる(マスストレージと排他利用)。
気になるのは印刷時に前面のフタを開けて用紙カセットを装着するという手間だろう。前方に飛び出したカセットはデザイン的に見てもまとまりがなく、同社製品にしてはややスマートさに欠けるきらいがある。
とはいえ洗練された画面デザインなどはそのままに、スライドショーなどを見ながら印刷ボタンを押せば画面から取り出すようにプリントアウトを手に取れる感覚は、いままでの液晶付きフォトプリンター/複合機などと比べてデータと印刷物の距離感が縮まった感じがする。
普段は(帰省した)故郷の風景などをDPP-F700に保存して飾っておき、いざというときには簡単にプリントして人に見せたり渡したりできる。この手軽さは使ってみると手放せなくなりそうだ。