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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第12回

昨年の話題を振り返って考えてみた

2010年代、ネット音楽はどうなっていくのか?

2010年01月05日 12時00分更新

文● 盛田諒、広田稔/ASCII.jp編集部、四本淑三

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海外ではYouTube中心に展開

盛田:掲載した記事から離れたところで言うと、国内では何が面白かったですか?

四本:僕はOpen Reel Ensambleですね。YouTubeではさんざん見てきたんですが、今年ライブパフォーマンスを初めて見て、すんげーカッコ良かった。

盛田:改造したオープンリールデッキをコンピュータにつないで、その場で録音したものを手でスクラッチしたりしながら演奏するんですよね。僕もライブは見ましたが、グルーブ感を重視していて、音楽的にもかなり楽しめるというのが画期的だと思いました。自作系の電子音楽は実験的な方向に走りがちなんですが。

四本:あのノリの良さは、なんか世代の差を感じるね。首謀者の和田さんは多摩美の4年なんですが、在学中にあればっかりやっていたらしくて、ちゃんと卒業出来るのかどうか心配です。

広田:海外に目を転じてみると、やはりYouTubeを中心にしてムーブメントが起こりつつある。特にJack Conteとその周辺は面白かったですね。最近の活動は、Nataly Dawnとのユニット「Pomplamoose」がメインみたいですが。

四本:あの人はネット時代のトッド・ラングレンだよね。自分で全部演奏できちゃうし、他人のプロデュースもする。「ウクレレ娘」のJulia Nunesのレコーディングに参加したり、Danielle Ate the Sandwichと一緒にライブに出たり、彼を中心にYouTube系のミュージシャンがつながりつつある。ネット系の音楽と言うと打ち込みが主体だけど、彼は「オーガニックサウンド」を標榜していて、生演奏にこだわってる。そこが面白い。

広田:ボカロ主体の日本の状況とは随分違いますよね。やっぱり住宅環境の違いとかあるんでしょうね。自宅で大声出したりドラム叩いたりできないもんなあ。

盛田:Pomplamooseは去年の暮れにウォール・ストリート・ジャーナルのブログで記事になっていましたよね。Jack Conteがインタビューに答えていて、メジャーのオファーを断ってネットの可能性を試している、みたいな内容でした。そこは日本のボカロPに通じるところがあるなと。

四本:そうそう、もうひとつ日本の状況との差があるとしたら、メディアですよ。日経新聞に逆衝動Pのインタビューが載りますか? ASCII.jpは日本のウォール・ストリート・ジャーナルと言ってもよろしい。素晴らしい!

広田:それはちょっと言い過ぎかも(笑)。

四本:でも頑張ったのは僕らですから。



(次ページに続く)



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