平沢進インタビュー「カス」の裏事情
盛田:ところで、平沢さんはさすがでしたね。サービス精神旺盛で、本当に頭のいい人なんだなあというか。
四本:ミュージシャンじゃなかったら噺家になってたと思うんですよ。いちいちオチを考えながら喋るし。取材は2時間だったけど、前編は30分、後編は20分喋ってあの内容。残りの70分は書けない話ばっかりという……。
広田:俺は取材に同行できなかったんですが「高品位粗食」を「カス」って言ったのは、本当に四本さんなんですか? 平沢さんが「昨日のインタビュアーにカスみたいなもん食ってますよねって言われた!」ってTweetしてましたけど。
四本:10代の頃からの知り合いなんだけど、たまにしか会わないんです。で、そのたび僕が太ってるから分からないんだよね。手を振っても気付かないんで、ツカツカ寄ってったら、今度は下向いて肩震わせてるわけ。で、人の顔を見るなり「あっ、また……」とか半笑いなんですよ。それで「平沢さんは全然変わりませんよね。いっつもカスみたいなもんばっかり食ってるから」って。
広田:ひえーっ!! 恐ろしい……。そんなこと言って怒られないんですか!?
四本:だって挨拶みたいなものだから。そもそも食事すら仕方なく摂ってるような人だし、否定的なニュアンスはないんです。ただ、あんなにウケると思わなかったけど。
盛田:あの記事ではTwitterや「けいおん!」を枕にしましたけど、力点は後編の若いミュージシャンに対するメッセージにあるんですよ。平沢さんのやり方は他の人には真似できないけど、その気構えには学ぶものがあると思うんですよね。
広田:ボカロPに取材していつも思うんですが、その辺のことを本当によく考えている人が多い。昔ながらの「ガッツだ、気合だ」みたいな人はいない。リスナーとの関係をものすごく考えている。
四本:テレビや雑誌と違って、直接つながってしまえるメディアだからね。それを「シーン」として総括するのは適切ではないかも知れない。精密に言えばリスナーとアーティストとの個別の関係が無数にあるだけだから。
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