iTunesのサーバーとして使う
このLinkStation、こちらで公開中のソースコード一覧からわかるとおり、OSにLinuxを採用する立派なPCだ。ここでオープンソースの是非を論じるつもりはないが、ユーザーコミュニティーの間で熟成されたソフトウェアも十分な堅牢性を持つことは、これだけLinuxやBSDベースのサーバーが普及していることからして明かなはず。
iTunesがライブラリの共有に用いる「DAAP」(Digital Audio Access Protocol)は、仕様が公開されていないアップルのプロプライエタリ(専属的)なプロトコルである。しかし、オープンソースコミュニティーによって解析が進められた結果、互換性のある「mt-daapd」※が公開された。このmt-daapdこそが、LinkStationがiTunesのメディアサーバーとして機能する理由だ。
※現在の開発はFireflyプロジェクトに引き継がれているが、LinkStation LS-XHLシリーズに使用されているのは「v0.2.4」という古いバージョンだ。
小難しい前置きとは反対に、セットアップはカンタン。ブラウザでLinkStationの管理画面にログインして、楽曲を保存しておくための共有フォルダーを作成。その後「その他」タブでメディアサーバー機能を有効にすればOK。
あとはMacBook Proで共有フォルダーをマウントして、そこに公開したい楽曲をコピーしよう。しばらく待つとメディアサーバーのデータベースが更新されて、iTunesの「共有」に現れるという流れだ。
これ以外にも、iTunesライブラリをLinkStation上に置いてしまう方法がある。「Option」キーを押しながらiTunesを起動し、新規ライブラリをLinkStation上に作成して、楽曲をそこにコピーする。
無線LANを主体に利用する場合、再生途中で音が途切れる可能性はあるが、MacBook Proの内蔵ディスクを身軽に保つにはこの方法もアリだろう。
自宅サーバーとして使う
もうひとつ、LinkStationには自宅サーバーとして使える「Webアクセス機能」がある。こちらもメディアサーバ機能と同様、「その他」タブで設定すればOKだ(具体的な手順はこちらを参照)。試しにiPhoneからアクセスしてみたところ、問題なくファイルブラウズできた。
今回は時間不足で試すことができなかったが、DLNA機器とともに利用できるということで、対応する薄型テレビやHDDレコーダーを所有している場合にはさらに使い方が広がるはず。
秋ナスは美味いが「飽きNAS」は食えぬもの……。パソコンだけでなく、デジタル家電と組み合わせるなどして「飽きない」ように使ってこそのデバイスだと考えるが、いかがだろう。
※次回は1月5日(火)掲載予定です
筆者紹介──海上忍
ITジャーナリスト・コラムニスト。アップル製品のほか、UNIX系OSやオープンソースソフトウェアを得意分野とする。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊、Amazon.co.jpで見る)など。
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