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2010年、Web業界のキーワードはコレだ! (3/4)

2009年12月25日 10時00分更新

文●ロフトワーク(http://www.loftwork.jp)

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本当の効果・価値を計る「指数」が、いま必要だ

諏訪 「何を『見える化』するか?」というのは、重要なテーマだと思います。現在、Twitterは、「フォロワーの数が多いほど偉い」みたいな状況ですが、これは「PVがいっぱいあるWebサイトが偉い」くらいに原始的なレベルだと思います。先日、エデルマンというPR 会社のCEOにインタビューしたのですが、その会社は、Twitterの影響力を計測するTweetLevelという無料のツールを出しています。複雑なアルゴリズムで、influence、popularity、engagement、trust、の4つの数字を出し、influenceというのがメインの指数です。フォロアーの数だけでなくて、「信頼度」を計測するところがおもしろいですね。

中野 「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」という国のプロジェクトでは、「安心安全を実現する」というテーマがあって、「情報がどれくらい信用できるか?」という指標の研究をしていますが、相当難しいようです。何が信頼なのか究極的には定義できない。

諏訪 そこは思い切って決めてしまい、間違ってたらすぐに改善していく。よい指数が出てきたら、駄目な指数は敗北して、よりよい指数を参考にしていく。また、さまざまな指数が生まれることで、価値の多様性も出てくればいいと思います。

 2010年はアクセス解析におけるさまざまな指数がもっと生まれる年になって欲しいです。金融の世界では本当に多様な指数があり、必要に応じてその指数をベースにデータを比較する。同じようにWebサイトを解析する際に、基準となる指数が色々あるべきだと思います。そのようなウェブでの指数は経済に活かされていくと思います。百貨店販売額が未だに景気動向指数の指標のひとつになっていますが、Amazon、楽天といったメガECサイトの数値を指数化すれば、景気の動向はもっと敏感に判断できるようになるのではないでしょうか。

中野

Web Professional編集長 中野克平

中野 そうそう、たとえば「楽天消費者物価指数」とか、毎日発表してほしいですね。楽天の購買単価がどれくらいかという指標は、サンプル調査ではなく全量調査ですから、すごくいいと思うんですね。あるいは、景気の先行指標として、スーツケースの売れ行きを発表するとかね。スーツケースの売れ行きが多いと、1ヶ月後に海外旅行が増えるとか、そういう因果関係のあるものに関しては、公表すればいいのに、と思いますね。

Google Analyticsで解析できるWebトラフィックは、「ノーリファラー」と「検索エンジン」と「参照」の3つです。その3つしかないんですけど、ソーシャルがこんなにブームなので、「ソーシャルトラフィックというのを作ったらいかがですか?」というのが、本日の私の提案です(笑)。サーチエンジンの上の方に表示されたからサイトへ訪問したのではなく、ブログやTwitterから来たのなら、アルゴリズムではなく、生身の人間を介して来ていることを意味します。そういう「生身の人がどれだけサイトに訪問してるのか」がわかる指数があった方がいいのではないかと。

諏訪 あ、おもしろいですね。

中野 先日、Web Directions Eastに行ったら、ソニーやマイクロソフトのWebマーケティングを手掛けているフィリップ・ルベル氏が話していたのですが「これからはブランドではなくて、ラブだ!」と(笑)。どういうことかというと、「尊敬じゃだけじゃなくて、好きも集めろ」という話でした。ということで、ソーシャルトラフィックの単位は「ラブ(ハートマーク)」がいいと思うんです。

諏訪 「ラブ」が単位なんだ(笑)。

中野 「ASCII.jpのサイト価値は4(よん)ラブ」みたいな(笑)。少し立ち寄っただけですぐ帰られてしまうようなWebサイトはラブを集めていない悲しいサイト。でも、ブログ界隈ですごく話題になっていて、愛されているWebサイトであれば、どんどん読み進めてもらえるし、平均滞在時間が長くなります。それを「ラブディグリー」として指数化する。ポピュラリティを計る指標になります。このような指数があると、ソーシャルももっと盛り上がるし、いいのではないかな、と。「Twitterはいったい何の役に立つの?」という議論が起こる前に、こういう指数をつくって、「いやいや、ラブを集めているのです」と言えるようになると、企業にも「愛をお金で買おう」みたいな話ができます(笑)。

諏訪 2010年は「リライアビリティやプレゼンスをどう測定するのか?」の試行錯誤がはじまりそうです。「ラブ」のほかにもいろんな指数が出てきてほしいですね。

中野 「これは確かに意味がある!」という指数が勝ち残るといいですね。

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