「CEATEC JAPAN 2009」で大手メーカーが揃って3Dテレビ＆BDレコを参考展示していた
今年最大の「大物」は、薄型テレビもレコーダーも「3D対応」
すでに登場が噂されている「3D」。本格的な投入は秋～年末になると思われていたが、なんと夏ボーナス前に第一弾の製品投入がありそう。3Dテレビがどれだけ注目を集めるかが、今年の大きなトピックになりそうだ。
CEATECで展示されていた3Dテレビ＆PS3
家庭用の3D映像は、まずBDソフトからスタートするので、3D映画などを楽しむには、対応のBDレコーダー／プレーヤーと、対応の薄型テレビが必要になる。再生機器に関しては、すでにソニーの「プレイステーション3」がソフトウェアアップデートによる対応を表明しているので、PS3を持っているならば、新規に再生機器を購入する必要はない。薄型テレビに関しては、残念ながらアップデートなどによる対応は不可能なので、買い換えが必要だ。
パナソニック（左）とシャープ（右）もCEATECで3Dテレビをアピール
3D技術は、昨年のテレビ特集（関連記事）で詳しく紹介しているが、要は右目用の映像と左目用の映像を交互に表示し、右目と左目にそれぞれの映像だけが透過する仕組みを持った専用メガネをかけることで、立体映像が得られるというもの。
これはつまり、現状の60コマの映像なら、120コマの表示が必要になるわけで、3D対応テレビとは、映像の表示速度が倍速になることを意味する。液晶テレビはすでに120コマ表示（倍速駆動）を実用化しているが、動画ボケにより立体感が得られにくいようなので、240コマ表示を採用する可能性が高い（シャープの新型液晶パネルのように120コマ表示で3Dが可能なものもある）。
いずれにしても、それだけ表示速度あるいは動画応答性が向上するということは、2D表示でも効果がないわけがない。動画応答性はもちろんのこと、2倍の表示速度を活用すれば、階調表現をより緻密に再現することも不可能ではない。3Dそのものが普及するかどうかは発売されるタイトル数にもよるし、いきなり爆発的に普及することはないと思われるが、だからといって3D対応薄型テレビが価値のない商品になるとは限らない。
個人的には、映画館で見る3Dは多少高い入場料を払っても見る価値がある。単純に面白い。現在は遊園地のアトラクション的なものが多いが、今後より自然な奥行き感を重視した映画も増えてくると、家庭で3Dを楽しむ魅力は増えるとも思う。アトラクション的な意味ではゲームの方が有効だし、大いに期待できる。3D対応ゲームが登場するようになれば、ゲーム専用の3D対応デスクトップモニターのような商品の登場も確実にあるだろう。
パナソニックの4K2K対応108V型プラズマテレビ
もうひとつ気になる4K2K（フルHDの4倍の解像度）パネルを採用した薄型テレビの登場は、もう少し先になりそう。こちらはかなりプレミアムな製品になると思われるので、すぐに現実的な価格になるとは考えにくい。おそらくは60V型以上100V型級の大画面テレビが第1号になると思われる。
そして、これは来年の登場が確実だが、3D対応に近いタイミングで、HDMIのバージョンが「1.4」になる。これは、3D表示用にハイビジョン信号を2つ分同時に送信できるようになること、HDMI端子を通じてネットワーク回線の信号が伝送できるようになるといった機能がある。
「HDMI 1.4」に盛り込まれた「HDMIイーサネットチャンネル」の概念図
ネットワーク回線の信号伝送というのは、つまり、薄型テレビがネットワーク・ハブになるということ。薄型テレビだけを家庭のネットワーク回線に接続しておけば、あとはHDMI 1.4対応機器ならテレビとHDMI接続するだけで、ネットワークへアクセスできるようになるわけだ。家庭用機器のネットワーク回線への接続がかなり簡単になるのが魅力だ。
BDレコーダーは、今のところは3D対応以外の目新しい新機能はあまり噂を聞かない。こちらも3D対応（くりかえすが左右それぞれの映像を表示するため、2倍の映像処理が必要）により、2D表示での高画質化やマルチ操作の強化はありうる。すでにBDレコーダーを所有していて、その機能に十分満足しているならば、とりあえずは3D対応モデルが登場するまでは「待ち」でいいと思う。
