Oh! MZ編集部に「記事を書かせてほしい」とお願い
華門 真人デビューす
いわゆるパソコンの第一歩はやはりシャープのX1turboでした。それまで貯めていたお年玉をすべてはたいて1985年の正月明けに購入。確か30万円ぐらいですから、高校生にはありえないぐらいの大金です。CPUは8bit CPUのZ80A(4MHz)、RAMは64KB、ディスプレイは640×480で8色、漢字もテキストとして扱える当時としては最先端のスペックでした。
高校の学園祭ではジョイスティックポートにロボットのオモチャをつないで動かすというオタク全開でした(ガンダム世代ですから)。ちなみにどれぐらいガンダム世代かといえば、ガンダムが作りたいが故に、数学が苦手にもかかわらず無理やり理系に進路変更した程です。
当時は大学受験を控え、あまりプログラミングに時間を割けなかったのですが(その割にゼビウスとかで遊んでいましたが)、その頃から愛読していたのが、日本ソフトバンク(当時。現ソフトバンク)のOh! MZという雑誌でした。当時はパソコンブームで、ASCIIをはじめとする総合誌に加え、メーカーごとに専門誌が発行されていたのです。
高校3年生の時だと思いますが、予備校に行く途中でOh! MZ編集部に遊びに行って、「記事を書かせてほしい」とお願いしました。自分でも大胆な行動ですが、「大学生になったらおいで」という温かい言葉をもらうことができました。
これが励みになったのかどうかは定かでありませんが、1987年に無事大学に合格。大学時代はバイト5割、遊び4割、勉強1割といったところで、特に大学1年から2年は締め切り前になると当時九段下にあったOh! X(1987年の冬にOh! MZから改題)編集部に入り浸っていました(締め切り直前は自発的に入り浸るというより強制的な缶詰になります)。
「華門 真人」というペンネームでプログラミングに関する記事から、ゲームのレビューまで、依頼があったものは何でもこなしておりました。記念すべき最初の記事は「はじめに真似ありき」というタイトルで、バイナリを逆アセンブリして、いかに解析するか、という内容でした。
X1turbo時代のハイライトのひとつは、「S-OS」というOSのX1turbo版の開発でしょうか。S-OSというのは、Z80というCPUを採用したマシン(例えばNECのPC-8001/8801やFM-7など)共通でアプリケーションを動かせるようにということで開発されたOSです。
ソースコードも開示され、興味を持った人間が自分の成果物を持ち寄るという今でいうオープンソース的な動きでした。大学後半ではシミュレーションに興味を持ち、交差点で渋滞が発生するメカニズムをPC上でシミュレートするなんてことも研究して記事にしていました。
しかし私が大学に入ってしばらくした頃には8bitのPCの時代は終わりつつあり、私もその後X68000というやはりシャープ製の16bitパソコンを買うことになります。さらに1991年に社会人になると、日立製メインフレーム、日立製UNIXワークステーション、ゼロックスのJ-STAR、そしてMacintoshと扱うコンピュータの幅は圧倒的に広くなりました。Windowsを本格的に扱うようになったのは、1993年のWindows NT 3.1です。
念のために補足すると、やはり個人での趣味の成果物と会社での成果物は大きく異なります。チームで体系的に高い品質を実現するという意味で、会社での成果物は個人の趣味と別次元ですし、そういった意味で大学までの私はプログラマーとは言えても、エンジニアというのは無理があるように思います。ただ、自分のエンジニア魂の源泉は自分の力の限りを尽くしてモノを作るという、PC-1251の時代にまで遡ると感じています。
ここでスペースが尽きてしまいました。社会人としての「エンジニア」にようやく入ったところですが、続きはまた次回。
岡本浩一郎
1969年3月、横浜生まれの横浜育ち。
野村総合研究所、ボストン コンサルティング グループを経て、2000年6月にコンサルティング会社リアルソリューションズを起業。
2008年4月、弥生株式会社 代表取締役社長に就任。「かんたん、やさしい」そして「あんしん」な弥生シリーズを広めるべく、全国行脚中。
ブログは弥生社長の愚直な実践。Twitterはkayokamoto。
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