意外なことに「キワモノ」じゃない!?
2画面搭載ノート オンキヨーDXシリーズを試す
2009年12月24日 12時00分更新
2画面は実用的だが「ビューモード」には疑問も
DX1007A5は実際に使ってみると、感心する点と首をかしげる点が同時に出てくる、奇妙な製品である。
感心する点は、キーボードのできの良さだ。流行のアイソレーションタイプだが、タイプ感は意外といい。ペタペタとしたタッチが嫌いな人には向かないが、そうでないなら、「これはこれでアリ」と思える出来である。タッチパッドも小さめだが、操作感は悪くない。むしろ「デスクトップ代わりのノート」だと思うなら、内蔵のBluetoothなどにより、マウスをつないで使った方がいいだろう。
他方で、「この機能はいらないのでは」と感じてしまったのが、「ビューモード」への変更だ。
DX1007A5はディスプレーを2画面にできるだけでなく、ディスプレーを裏返し、「タブレットPC」のように使える。当然、単純に裏返すだけでなく、縦画面でも利用できる。画面をペンや指でタッチして操作する機能はないので、「情報閲覧用」ということで「ビューモード」と名付けられている。
実はこのビューモード、操作感は決して悪くない。横にして画面の右側、縦に持って画面下にある「四角」の部分は、光学式のセンサーになっている。指を置いて動かすと、移動を検知してマウスカーソルの動きへと変えてくれる。ペンはないが、その代替としてはなかなか快適なものである。率直に言って、縦画面よりも横画面の方が使いやすい。
だが、冷静に考えると、このモードはいろいろな問題を生み出す元になっている。まず第一に「熱」。DX1007A5では、使用中に放熱がキーボードなどに不快なほど伝わることは少ない。ただし、その熱の吹き出し口は本体左側面にあり、常に勢いよく熱風を出している。
今回はいつも計測に使っている放射温度計が不調であったため、残念ながら実際の温度計測はできなかった。だが、その熱量は一般的に言って「熱い」レベルであり、長時間同じ場所を持っているのが辛かった。ビューモードで使う場合には、できるだけすぐ「縦」に持って、放熱部に触れないようにした方がいい。
また、ビューモードにするための「回転機構」が、ディスプレーを安定せず、重いものにしている印象を受ける。横向きなのに、妙に斜めに傾く印象を受けるためだ。DX1007A5は元々軽い製品ではない。「どうせだから」と首を回転させる機構を組みこんでしまったのだろうが、元々重い機器に入れても、あまり用途は広がらない。
このような形式のノートパソコンとしてなら、むしろディスプレーは回転させず、固定型とした方が使いやすかったのではないだろうか? また、せっかくの2画面も両方をいっぺんに裏返さねばならないので、片方だけを相手に見せる、といった使い方は難しい。
重ねていうが、「2画面」という発想は決して悪くない。巨大なディスプレーを搭載するためにボディーそのものを巨大にするよりは、この形式の方が使いやすい、と思う人も少なくないだろう。
ノートパソコンに2画面、というのは意外とキワモノではない。だが、この商品については、少々割り切りが足りなかった印象だ。
- オススメする人
- ・ホテルや自宅で効率的に仕事をしたい人
- ・他人とは違うノートパソコンを探している人
DX1007A5 の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Athlon Neo MV-40(1.6GHz) |
メモリー | 2GB |
グラフィックス | AMD RS780MNチップセット内蔵 |
ディスプレー | 10.1型ワイド 1366×768ドット×2 |
ストレージ | HDD 320GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1 |
サイズ | 幅280×奥行き210×高さ19~42mm |
質量 | 約1.8kg |
バッテリー駆動時間 | 約3.7時間 |
OS | Windows 7 Home Premium 32bit版 |
価格 | 8万4800円(直販価格) |
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」「クラウド・コンピューティング仕事術」(朝日新聞出版)。
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