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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第32回

年末年始特別編1 AMD CPUの2010~2011年はこうなる

2009年12月21日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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2009年以降のデスクトップ向けCPUロードマップ

2009年以降のデスクトップ向けCPUロードマップ

2010年は大きな変更はなさそう
細かいアップデート製品登場に期待

 次はデスクトップ向けである。2008年におけるロードマップと今年のロードマップを見比べてみよう。大きな違いは、2011年に「Orochi」というコード名だった製品が、Bulldozerベースの「Zambezi」コアになると示されたことだろうか。

AMDが公開した、2008年11月時点でのデスクトップ向けCPUロードマップ

AMDが公開した、2008年11月時点でのデスクトップ向けCPUロードマップ

同じく2009年11月時点でのデスクトップ向けCPUロードマップ

同じく2009年11月時点でのデスクトップ向けCPUロードマップ

 まず2010年を比較すると、基本的には現在の製品展開がそのまま続くが、新たに「Thuban」CPUが加わるのが違いとなる。これはようするに、IstanbulとしてOpteron向けにリリースされた6コアCPUのデスクトップ版である。ただし、IstanbulはDDR2のみの対応だが、ThubanはSocket AM3に対応することから、DDR2/DDR3の両対応となるだろう。もっとも、Istanbul自体のDDR3対応は済んでおり、単にプラットフォームの都合でDDR2のみの対応としているだけだ。これはそれほど不思議ではない。この結果として2010年には、CPUに関して大きな動きはないだろう。

Istanbulこと6コアOpteronのダイ写真

Istanbulこと6コアOpteronのダイ写真。2010年にはこれを使ったハイエンドデスクトップ向けCPUが登場すると思われる

 細かいところでは、いろいろと新製品が出てくると思われる。というのは、製造を担当する米GLOBALFOUNDARIES社は32nm SOIプロセスの量産準備を着々と整えているが、この32nm SOI向けのトランジスタとか配線技術などを、45nm SOIプロセスにもフィードバックしているからだ(45nm SOIプロセス上で、32nm SOIにも適用できる技術を開発、検証していると言うべきか)。

 AMDの時代には、CTI(Continuous Transistor Improvement)やSTT(Shared Transistor Technology)として説明された技術だが、例えば90nm SOIの時代は8世代のトランジスタが存在しており、次第に性能の改善や消費電力の低減が行なわれた(これがCTI)。また、90nm SOIの最終世代と65nm SOIの最初の世代では、トランジスタの構造がほぼ同じものとなっている。こうした絶え間ない改良が、「当初の製品は消費電力も大きく動作周波数も低いが、次第に消費電力が減り、動作周波数が上がる」というAMDの製品の特徴(?)の影の功労者である。

 ただ、AMDのファブ(製造工場)がGLOBALFOUNDARIESに分離されたことで、CTI/STTを使いにくくなるかと思ったが、GLOBALFOUNDARIESの設立記者発表会の時に確認したところ、この技法は引き続き継承されるという説明がなされている。実際、例えばPhenom II X4 965にしても、当初のRevision C2ではTDPが140Wだったのが、後に登場したRevision C3では125Wになるなど、確実にプロセスの進化が進んでいることがわかる。

 従って、2010年もGLOBALFOUNDARIESの45nm SOIプロセスはより進化することが期待でき、結果として低消費電力の製品の投入や、もしかするとより高い動作周波数の製品なども投入されることになるだろう。これはPhenom II/Athlon IIの両方の製品ラインナップで期待できそうだ。

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