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週刊 PC&周辺機器レビュー 第36回

USB 3.0で3倍速いHDD バッファロー HD-HU3シリーズ

2009年12月19日 12時00分更新

文● 池田圭一

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USB 3.0での実力は?

 USB 3.0の実力を検証すべく、編集部の機材でテストを行なった。比較対象として、HD-H1.0TU3をUSB 2.0で接続した場合と、一般的なSATA HDDでの測定結果も比較している。テスト機のおおまかな仕様は以下のとおり。USB 2.0での計測は、マザーボード上のUSBコネクター(つまりICH10内蔵USBコントローラー)を使用している。

CPU:Core i7-940(2.93GHz)|メモリー:DDR3-1066 3GB|チップセット:Intel X58 Express
グラフィックス:GeForce GTX 285|HDD:SAMSUNG HD103UJ 1TB(SATA 3Gbps/NCQ有効/AHCI)
OS:Windows 7 Ultimate 32bit
付属の電源ケーブルを接続して使う

IFC-PCIE2U3には、付属の電源ケーブルをSATA用電源ケーブルに接続して使う

 ちなみに、IFC-PCIE2U3はUSB 3.0のフルスペック(5Gbps)の能力を持っているが、それが発揮できるのはPCI Express 2.0(Gen2)対応のスロットに接続した場合だ。上記テストマシンは問題ないが、Core 2 Duo時代初期のチップセット(Intel 3シリーズ)やそれ以前では、PCI Expressは1.1(Gen1)止まりになる。Gen1のPCI Express x1では、データ転送速度の上限は2.5Gbpsで、USB 3.0のフルスペックには足らない。

 もっとも、PCI Expressの実効データ転送能力は約80%と言われるし、そこにUSB 3.0のプロトコルが乗るので、トータルでの実効データ転送能力は約半分と見積もるのが適当とされている。Gen1世代のPCI Expressでは、2.5Gbps(320MB/秒)の約50%、すなわち160MB/秒程度が上限となるだろう。

 テストには定番のストレージベンチマークテスト「CrystalDiskMark 2.2」を使用した(測定は100MB、単位はMB/秒)。ランダムリード4KB/ライト4KBは、ややばらつきが大きいため割愛した。また、念のため測定単位を「1000MB」にした計測もしてみたが、結果に大差はなかったので掲載はしていない。

シーケンシャルリード/ライトの結果

シーケンシャルリード/ライトの結果

ランダムリード512KB/ライト512KBの結果

ランダムリード512KB/ライト512KBの結果

 シーケンシャルリードではUSB 2.0接続の約3.3倍、同ライトでは約3.5倍の値だ。また、内蔵のSATA HDDよりも2倍以上高速なことにも注目したい(というよりもSATA HDDが遅すぎる。テスト環境側の問題のようだ)。バッファローの製品情報ページにも、高速CPUや最新のチップセットを用いてのテスト結果が出ているが、ここでも速度差は約3.7倍(読み込み時)という。

 実を言うと、筆者環境の古いテストマシン(CPUがAMD Sempron 3000+ 1.8GHz、チップセットはRadeon Xpress 200)では、チップセットとUSB 3.0インターフェースカードの相性問題が発生し、数100MBの大容量ファイル利用時に途中でハングアップするという現象が散見された。そのため今回は結果の掲載を見送ったのだが、シングルコアの遅いCPUと遅いチップセットを搭載した時代遅れの古いマシンでも、おおむね3.5倍程度はUSB 2.0よりも高速であった。となると、USB 3.0にすることで3~3.5倍ものの高速化効果が得られると考えてよいだろう。劇的な差である。


 正直なところ、USB 3.0規格の今後の浸透具合は不透明だ。今のところ、コントローラーチップを提供しているのはNECエレクトロニクス1社のみのため、USB 3.0対応機器同士の接続では問題が出にくいが、他ベンダーが参入してきたときに、USB 1.0の時のようなコントローラーチップの相性問題が発生しないとも限らない。ちなみに。USB 3.0対応のインターフェースが、一般的なパソコンのマザーボードに実装されるようになるのは、2010年~2011年ごろだと言われている。また、内蔵ストレージの接続であれば、Serial ATA 3.0規格の最高6Gbps(実効でも600MB/s程度)のほうが高速である。

 一方でコストパフォーマンスを見ると、HD-HU3シリーズの価格は、同等の機能(Turbo USB、省電力など)を持つ同容量のUSB 2.0製品と比較して、価格差は2000~3000円程度となっている。現時点では、5000円程度のUSB 3.0インターフェースも必要になるが、この程度の投資で3.7倍の速度向上は魅力的だ。ビデオデータやバックアップなどの大容量ファイルを扱うのであれば、価値が高い製品といえる。


筆者紹介─池田圭一

月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。


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