日本メーカーによる日本人のための優しさ
富士通といえば、シニア層や初心者をターゲットにした「らくらくパソコン」をリリースしており、これらの人々がパソコンを使いこなせるようにする取り組みは他社メーカーよりもしっかりしている。本製品でもその取り組みを随所にみることができる。
例えば、プリインストールされている「なるほどパソコン入門」などは、大きな文字とイラストでわかりやすく文字入力やWindowsの解説がなされているため、初心者やシニアでも読みやすい内容となっている、さらにアニメーションで解説する「セキュリティ入門」などもあり、知っておく必要があるセキュリティをわかりやすく学習することができる。
このように自分で学習できるコンテンツがしっかりと用意されているのも「親に勧められる」という点だ。大抵の初心者はいきなりWindowsのデスクトップに放り出されても何をやったら良いのか分からない場合が多い。そんなときにこうしたコンテンツは役に立ってくれる。海外メーカーとは一線を画すところだろう。
コンバーチブル構造で縦でも横でも使える
液晶が180°回転するコンバーチブル構造自体は目新しいものではないが、やはり「FMV-BIBLO MT/E50N」の最大の特徴として紹介しておきたい。このコンバーチブル構造を採用することで、本製品はノートパソコンとは少し違った使い方もできる。
一般的なノートパソコンでは、液晶とキーボードを搭載した本体部分との間に2ヵ所の蝶つがいがある。「FMV-BIBLO MT/E50N」はこれとは異なり、中心部分は1ヵ所の蝶つがいのみで開閉を行ない、さらにこの部分が横に回転するため、液晶は開閉(縦回転)と180度の横回転という2つの動きが同時に行なえる。このため、通常のノートパソコンとしてだけでなく、液晶を180度回転させて閉じれば(通常のノートパソコンの液晶背面がディスプレー面になった状態)タブレットPCとしてコンバーチブルに使えるのである。既に携帯電話などでも多く使われているため、なじみのあるユーザーは多いだろう。
実際に試してみると、やはり過去何度もこのような構造を作ってきた富士通らしく、開閉も回転もしっかりとした動きだ。本体や液晶がきしんだり、動きが堅いといったことはなく、軽すぎず堅すぎずといった感じでちょうどいい堅さだ。
タブレットスタイルにすることで、画面を回転させて縦長の画面で使うことができる。しかもタブレットスタイルにすれば自動で切り替わる。液晶パネルの下に装備されたボタンを押すことでも可能だ。このボタンは1回押すたびに90°ずつ回転するようになっており、横方向の上下、縦方向の上下をそれぞれ入れ替えて使うことができる。
指紋認証のセンサーも液晶パネルの下についており、タブレットスタイルでもWindowsにログオンできるなど、ユーザーの使い勝手をよく考えて作られている印象だ。
タブレットスタイルで使用することで、例えば電子ブックを読んだり、縦位置で撮影した写真を閲覧する時などは、縦長画面で利用したほうがより大きく表示できて見やすい。また、寝転がったままDVDを(フルサイズで)見るようなときには、ワンボタンで横長画面に切り替えればいい。
さらに、タブレットスタイルの利点として、クリップボードのように腕で抱えて持ったまま操作できるため、店舗や倉庫の在庫管理や棚卸しなど、立ったままパソコンを操作する必要がある場合には大いに役立つだろう。ちょっと特殊な使い方だが、最近のデジタル一眼レフカメラは、USBケーブルで接続してパソコンからピントやシャッターを操作することができるため、スタジオ撮影などで手に持ったままタッチパネル操作でカメラをコントロールする、という使い方も想定できる。
コンバーチブルタブレットの可能性
既にウェブブラウズやメールは社会の一部として当たり前のように使われており、これが使えないと社会的な生活に格差が生まれるところまで来ている。例えば、特定の商品はネットでしか買えないというのはその良い例だろう。
しかし、この度重なる不況の波の中でメーカーも苦しい立場にあり、なかなかシニアや初心者のフォローを十分にできる製品を作れないのも確かだ。そんな中で「FMV-BIBLO MT/E50N 」は、シニアや初心者でも安心してインターネットやメールが使えるようになる可能性を秘めた機種である。
確かに画期的な新機能を搭載して話題になる機種ではないものの、逆に成熟され安定した技術で固められた非常に堅実な機種だと触ってみて実感した。筆者自身もこの機種ならば、安心して親にも勧められるだろう。
また、親に勧めるのではなく、自らパソコンの買い換えを考えている人も「FMV-BIBLO MT/E50N 」について一度検討してみてほしい。通常のノートパソコンではなく、コンバーチブル構造でタブレットPCとして使える「FMV-BIBLO MT/E50N 」なら利用スタイルの幅が広がる。ちょっと考え方を変えてこのようなスタイルの使い方も検討してみてはいかがだろうか。