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PRIMERGY、DESKPOWERのふるさとをゆく

1台3分で次々に完成!富士通のPCサーバー工場を見た

2009年12月15日 09時00分更新

文● 吉川大郎/TECH.ASCII.jp

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鉄

完全に資材と化した元情報機器を収めたコンテナ。無骨な「鉄」の張り紙が郷愁を誘う。このリサイクル工場は、墓場であると同時に素材を生み出す母胎でもある

ゆりかごから墓場までとはこのことだ!
リサイクル工場で懐かしのパソコン達と出会う

 富士通アイソテックの敷地内には、リサイクル工場「富士通東日本リサイクルセンター」も存在している。運営は子会社のエフアイティフロンティアだ。

 この工場の特徴は、情報機器をすべて分解して資源にリサイクルする点、コンピュータのデータは確実に破壊処理する点にあろう。

 取り扱うのは、PCやPCサーバー、プリンターなど。つまり、この工場で作られたPCやサーバーが最後の時を迎えるにあたり、鮭のごとく生まれ故郷に帰ってくるというわけだ。そして、長年お父さんのパソコンとして愛用されてきたパソコンも、企業の業務を担ってきた無骨なサーバーも、等しくデータを無にされ、プラスチック原料や製鉄所の高炉原料、金属原料、貴金属、ガラス原料として旅立っていく。

穴空け方式

見事に穴が空いたハードディスク

 分解はすべて手作業で行なわれているが、特にアピールされたのがハードディスクの破壊工程だ。データ破壊の方法は、顧客の要望により異なるが、「穴空け破壊方式」、「磁気破壊方式」、「切断破壊方式」の3つに分けられる。ハードディスクはすべて破壊処理し、その後もアルミ精錬工場に持込み熔解してアルミ素材に再資源化するそうだ。

メモリ

部品は種類毎に分けられている

レジ

レジ機器だろうと思われる

基板

メモリースロットがいくつも並んだ基板

磁気破壊

HDDクラッシャーと呼ばれるハードディスクを破壊装置。作業員が、破壊装置に入れては出し、入れては出しを繰り返していた

パソコンのエンブレム部分や、Windowsの認証シールなどを付着させたままリサイクルすると、当然素材の純度が落ちる。ゆえに、こうしたものも手作業で取り外されるわけだが、シールなどは右写真のように熱してはがすのだそうだ。

モニター

CRTモニターも、手作業で分解される。モニターのガラスには鉛が入っているから、それもうまく分離させるのだそうだ

パソコンの解体風景。もう使わないものだから、叩いたり引っ張ったりして解体するのだろうと思っていたら、きちんとネジを外したり、ZIFソケットも通常の手順でCPUをはがしたりと、丁寧だった。そして速かった

廃プラスチック材料判別機

場合によっては形成に使われた素材が分からないプラスチックが運ばれてくる。そういう時は、この「廃プラスチック材料判別機」で、判別する

富士通筐体

おお、富士通のロゴが入った筐体だ

解体されたあとのプラスチックや梱包材は、溶かされて原材料となる

 今回の工場見学では、組み立てライン、インフラ工場、リサイクル工場と、3つの工場を巡った。この3つに共通して言えることは、効率化と丁寧さの共存という点だ。1台のサーバーが出来上がる時間を1秒でも縮め、作業面積もできるだけ小さくしようという努力と平行して、リサイクル工場では手作業を中心としたクオリティ重視の工程が営まれている。効率とクオリティの両面を追い求めてこそ、冒頭で紹介した“「Made in Japan」ものづくりへのこだわり”という標語を掲げる気概が生まれるのであろう。

初出時、PRIMERGYの製品名表記に誤りがありました。お詫びして、訂正させていただきます。また、サーバーが組み上がる時間が、現在は1台3分となっておりましたので、併せて修正をさせていただきます。

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