シーン8
日本のケータイにもやってきた電子ブックの兆し
au「biblio」とau「W61H」(関連記事1、関連記事2)。アメリカではアマゾンのKindleをはじめとした電子書籍の端末が非常に盛り上がりを見せているが、日本でも電子書籍に対応する端末がリリースされ始めている。また電子ペーパーを搭載する端末も登場しており、文章を読むのに最適なケータイを作り出せる可能性を感じる。
シーン9
ソーラーケータイでバッテリの問題を解決できるか?
3キャリアから相次いで投入されたソーラーパネル搭載のシャープ製ケータイ(関連記事)。現状ではまだACアダプタをなくせるというわけではないが、ケータイでは常につきまとってきたバッテリの課題に取り組む新たなアプローチとして注目すべきことだ。また1つの商品企画を複数のキャリアに投入している象徴的な製品でもあり、日本のケータイメーカーが生きる道を模索する必要性を感じる。
シーン10
スマートフォン、データ端末は生活のスタイルを変える
iPhoneを学生とスタッフ全員に導入した青山学院大学社会情報学部(関連記事)、森の中でも3G回線でインターネットにつながり仕事ができるドコモ「L-05A」(関連記事)、そしてニューヨークの空港のゲート前でスマートフォンを駆使して仕事を片付けるアメリカのビジネスの光景(関連記事)。スマートフォン、高速無線回線が、ワークスタイル、ライフスタイル、学習のスタイルをリ・デザインしている場面に何度も出会った。
2年間ケータイを撮り続けてきたアーカイヴもなかなか膨大なもので、「今週の1枚」に採用した写真以外にも、記事の中で使った写真、それ以外の写真など、すべて含めると実に7500枚近くに上る。それだけさまざまなシーンが存在していたし、デザインや機能がおもしろい端末もたくさんあったと言うことだろう。
しかし一方で、iPhoneの日本発売からシェア拡大の時期を俯瞰して追いかけていた時期とも重なり、連載の後半はiPhoneの記事や写真が増えるようになっていた。同時に日本のケータイに元気がない様子が報じられ、本当に「ミクロな魅力」を紹介するにとどまり、未来志向のイメージやストーリーが描きにくくなってきたのも事実だ。
もちろんフォトジェニックな端末は今後も大歓迎である一方で、プラットホームが強かったり、より生活の奥底に入り込んでくるような端末というものがたくさん出てくることを望んでやまない。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。
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