オーバークロック上等! 強力ファンと水冷システム
Aurora ALXが選択可能なCPUは、デスクトップ向けでは最上位CPUブランドのCore i7-900番台である。Core i7はご承知のとおり、自動でオーバークロック動作する機能「ターボ・ブースト・テクノロジー」を備えている。
今まではユーザー自身が試行錯誤しながら、しきい値を見定めてオーバークロック設定をつきつめていたところを、CPU限定でかつクロック周波数の倍率に制約はあるとはいえ、自動でやってくれるのはありがたい。しかも、CPUの動作状況に応じて倍率が自動で変わるため、低負荷時の消費電力を低く保てる利点がある。
Aurora ALXではCPUに現状最高速のCore i7-975 Extreme Edition(3.33GHz)を選べるだけでなく、あらかじめこれをオーバークロックした3.60GHz動作品もラインナップされている。メーカー自身によるオーバークロックということで、ユーザーはある意味安心してオーバークロックのパフォーマンスを体験できることになる。
また、CPUの冷却機構は水冷システムを採用。同社では「標準的なヒートシンクとファンに比べて2倍以上静か」としている。また冷却効率に優れた水冷システムのおかげで、オーバークロック動作の信頼性も向上しているという。
実際に3.33GHz動作のCore i7-975を搭載する評価機を使ってみたが、負荷がかかるとCPUクロックは自動で3.48GHz程度にあがって動作することがほとんどであった。3.48GHzといえば、全コアが1段階オーバークロックされた状態。水冷システムと強力なファンのおかげで、ターボ・ブーストが効いた状態でも安定動作できているようだ。
なお、ベンチマークテスト等で無理矢理負荷をかけてみると、内部ファンの動作音はかなり大きくなり、騒々しいほどになった。高性能なCore i7と水冷システムの組み合わせだけに、多少の負荷ではそこまでうるさくなることはないが、家族が集うリビングに、これを置いて使うのは避けた方がよさそうだ。
容積広く余裕の筐体 細かい工夫も随所に
Aurora ALXの筐体は、外見では奇抜なデザインとActive Ventingが目を引くが、内部もハイエンドマシンに相応しい、凝った作りをしている。
本体左側面のパネルは、前述のとおりルーバーを上げるだけで静かに開き、ネジを外す必要はいっさいない。奥行きの広い筐体内部は余裕があり、パーツの着脱も容易だ。長さ300mm近いRadeon HD 5970でも取り付けられる。
内蔵HDDベイは、本体下部に横置きで配置されるという変わった構造をしている。最大4台の3.5インチSATA HDDを取り付けられるこのベイは、ドライバー不要でHDDの付け外しが可能になっている。ベイの中間にはHDD用の小型ファンも装着されていて、動作時は高温を発する10000rpm以上の高速HDDでも、安心して使えそうだ。
電源ユニットはハイエンドケースでときどき見かける、本体下部に取り付ける配置となっている。定格出力は875Wで、ハイエンドGPUの2枚差しでも安心だ。電源と各パーツを結ぶケーブル類は、肋骨のような見た目のケーブルクランプで束ねられていて、邪魔にならないし美観もいい。
また、ささやかながら実用的な機能として、筐体内部や背面コネクター部を照らすLEDライトが、各所にしこまれている点もあげておきたい。例えば、机の下のパソコン背面にケーブルを取り外したり、本体内部のパーツを付け外しする際に、懐中電灯を使って周辺を照らしたという経験がある人も少なくないだろう。Aurora ALXなら懐中電灯は不要だ。しかもLEDライト用に小型のバッテリーも内蔵しているとのことで、電源ケーブルを外した状態でも、LEDライトで内部や背面を照らせる。
「なにもそこまでしなくても……」という気がするかもしれないが、実用性は高いし、そこまでこだわるのがウルトラハイエンドのAlienwareブランドの醍醐味というものだ。ただし、巨大な筐体と凝った内部構造ゆえか、本体質量は約20.4kg(システム構成により異なる)と、かなり重い。