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スキル標準ユーザーズカンファレンス2010より

IT人材育成、経産省の取り組みはこれだ!

2009年12月07日 07時30分更新

文● TECH.ASCII.jp

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経産省と文科省が組む
産業界と教育界が組む

展開イメージ

産学連携による実践的IT教育の展開イメージ

 産学のミスマッチというのは、特に“高度IT人材”(企業の経営面まで視野に入れられるIT人材)について、文部科学省と経産省が連携し一昨年10月には産学人材育成パートナーシップを立ち上げた。また、高度IT人材の育成に向け、産学の共通認識を醸成し、具体的な取り組みを検討しているという。たとえば、高度IT人材育成推進体制の整備がそれだ。ここでは、産学人材育成パートナーシップ情報処理分科会の下に「産学連携IT人材育成実行ワーキンググループ」を設置し、産学連携による実践的なIT教育を行なっていくという。

 これは、筑波大学、早稲田大学、九州大学、山口大学、東洋大学の5大学と、NEC、TIS、日立製作所、富士通、日本ユニシス、NTTデータなどが手を組み、人材育成を使用というもの。

 5大学で講座を開講し、さらにスキル標準やスキルフレームワークの枠組みに則ったカリキュラムを作成することで、「IT教育のコンテンツプラットフォームを作る」(安田氏)のが狙いだ。各企業は、教材となるべき題材を提供した。

 教え方そのものは各大学でそれぞれ違う。通期で行なう場合もあれば、夏休みなどの短期集中というやり方もあるのだという。現在、6企業と大学の間でマッチングが進んでおり、来年度以降実践的な窓口が開設されるのだそうだ。

 このほか経産省では以下のような取り組みを行ない、高度IT人材の育成に取り組んでいるという。

実践的インターンシップモデルの構築
「インターンシップマッチングデータベース」を作り、学生と企業のインターンシップに関する要望をマッチングする。
リカレント教育
トップエンジニアに向けたもので、彼らにリカレント教育を提供することで、人材育成に役立てるというもの。現在教育界が行なっているリカレント教育を調べて要件を検討するという
魅力的なパスの策定
「IT人材職種別モデルキャリア開発計画策定事業」と名付けられたもので、IT産業の紹介と魅力の発信をすることで、人材の獲得を目指す。たとえばプロジェクトマネージャーのキャリアパスモデルとしては、入社からの経年や職種のアップなどをモデル化して提示している。
専門家コミュニティ活動の推進
専門家が、IT産業の魅力向上や人材育成のために、自主的に企業や教育機関の枠組みを超えた取り組みを行なっていた場合、感謝状を贈呈している。
スーパークリエータの発掘・支援
これは、ご存じの方も多いだろう。IPAの活動で、かなり有名なものだ。今後は、この事業で採択された開発者のネットワーク形成をするほか、CEO、ベンチャーキャピタリストなどの出会いの場「未踏フォーラム」(仮称)を提供するほか、人材活用の基盤となる開発者データベース「未踏iPedia」(仮称)を整備するという。
セキュリティ&プログラミングキャンプ
若者に合宿形式で専門家が教育を行なう。参加費は無料だ。
キャリアパスモデル

プロジェクトマネージャーのキャリアパスモデル

国際展開について

 3番目は国際展開についてだ。これは、情報処理技術者試験のアジア展開についての話題だった。現在、アジアの国々と相互連携し、日本の試験を移植して試験制度が構築されてきているのだという。これは、日本がアジアの国々にアウトソーシングする際にもメリットとなる。

情報処理技術者試験のアジア展開

情報処理技術者試験のアジア展開。白は移植された国

 安田氏の講演は、駆け足でやや堅いものではあったが、経産省やIPAが人材育成のために、どのように取り組んでいるのかが俯瞰できる貴重な機会となっていた。

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