AJAXページの開発もJavaScriptを意識せず簡単に!
セッション後編では、ASP.NETを基礎とするサーバー側の開発についてのデモが行なわれた。
Web Formsを利用した開発のパートでは、Visual Basicなどでおなじみの、GUIを利用して画面パーツを配置し、それぞれのパーツにイベントハンドラを設定していくという開発方法を紹介。
直感的であるのはもちろん、Web Formsを利用することで開発者はブラウザーの種別を意識することなく開発が進められる、というのも強みだろう。
続く「ASP.NET AJAX」でのパートでは、Web Formsの画面に、ScriptManagerやUpdatePanelといったAJAX用コントロールを配置。これにより通常のWeb Formsでは不可能な、画面全体をリロードすることなく部分的に更新されることが説明された。ここでも一切JavaScriptを意識させることはなく、Web Formsを使う簡便さと変わりはない。
さらにASP.NET AJAX Control Toolkitについても紹介された。
40種類のコントロールがCodePlex上に公開されており、日付をマウス操作で選択・入力できるカレンダーコントロールや、オリジナルデザインのスライダーなど、頻繁に使われるコントロールが多数含まれている。ASP.NET AJAXを使う時は、是非こちらも併せてチェックしてほしい。
ASP.NET開発と次期Visual Studioの新技術
さて、このセッション後半で最も時間が使われたのが、Visual Studioの次期バージョンである「Visual Studio 2010」から標準搭載される「ASP.NET MVC」という機能である。
ロジック(論理構造)とデザイン、操作系を分けて開発するMVC(Model View Controller)パターンは、Web開発の世界ではもはやおなじみのアーキテクチャーだが、お世辞にも従来のASP.NET(.NET Framework 3.0まで)とは相性がよくなかった。
しかし、このASP.NET MVCでは、まさに「Model」「View」「Controller」という形でテンプレートが設計されており、「UIと処理ロジックの祖結合化」「UIデザインを容易に」といった内容が実現されている。
ASP.NETの大革新ともいえるこの機能については説明するべき点が多く、残念ながら今回のセミナーでは駆け足の説明となっていた。だが、次期Visual Studioの目玉機能の一つとして、今後も要注目の機能といえるだろう。
そのほか、複数のWebサーバーに同一環境をインストールしやすくする「Webセットアップ」や、Visual Studio 2010の新機能、ASP.NETの今後などについてのデモや説明があった。筆者が特に気になったのは「The Microsoft Ajax Content Delivery Network(CDN)」というサービスだ。
例えばよく使うjQueryライブラリを自分のWebアプリから使いたい場合、
<script src="http://ajax.microsoft.com/ajax/jquery/jquery-1.3.2.js" type="text/javascript">
</script>
<script src="http://ajax.microsoft.com/ajax/jquery/jquery-1.3.2.min.js" type="text/javascript">
</script>
このように記述すれば、マイクロソフトが公開しているサーバー上のものを利用できる。
これによりファイルロード時の負荷分散ができてパフォーマンスが向上する、という仕組みだ。もちろんjQueryだけでなく、ASP.NET AJAX関係のライブラリなども多数公開されている。
今回紹介されたほかの新技術に比べると少々地味に見えるかもしれないが、少しでもサーバー負荷を減らしたいWebサービス提供者にとっては朗報だ。同社のWeb開発に対する真剣な取り組みのひとつとして注目したい。