このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

WebアプリとDBが危ない! 第11回

情報漏えい事件の続発で注目が集まるDBセキュリティ

情報元を抑えよ!DBセキュリティを先導する「FortiDB」

2009年12月07日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

最新バージョンではメモリ参照型方式もサポート

 10月にはFortiDBはソフトウェアが4.0にバージョンアップされ、アーキテクチャが一新。機能やパフォーマンスが拡張されたほか、アイピーロックス時代に抱えていた課題が一気に解消されたという。

フォーティネットのDBセキュリティアプライアンス「FortiDB-400B」

 実はFortiDBの前身であるアイピーロックスの時代には、日米で異なるバージョンが存在していた。米国ではVAのニーズが強かったが、日本では個人情報保護法の関係でDAMの方の要求が大きかった。そのため、両者でVAとDAMをそれぞれ強化し、機能拡張を行なってソースコードも分かれたという。これもひとえに開発リソースの不足に原因があった。

 しかし、開発体制の充実したフォーティネットによる買収によって、状況は一気に変わった。アイピーロックス後期の製品をリファインしただけにとどまるFortiDB3.3系に対して、FortiDB 4.0では内部構造を設計し直した。それぞれのロードマップ上にあったVAとDAMの機能は完全に網羅されたほか、1日にさばけるレコードの数が大幅に向上したことで、パフォーマンスやスケーラビリティも5~10倍と劇的に向上した。「本来、アイピーロックスが描いていたデザインをきちんと具現化したのが、今回発表されたFortiDB 4.0」(成田氏)というほど完成度は高まっている。

 FortiDB 4.0で大きい改良点は、メモリ参照型のアーキテクチャをサポートしたことだ。従来からFortiDBは、DBからのアクセスログを取得するオーディット型を採用し、監視や監査、分析などを行なっていた。このオーディット型はDBからログを確実に取得できるメリットがある一方で、負荷がかかるという指摘もあった。これに対し、FortiDB 4.0では共有メモリ上のログを直接参照し、SQLを精査するメモリ参照型の方式をサポートした。「精度を考えるとオーディット型なのですが、アプリケーションが動けばいいやという設計をしていると、マシンがログを出力するパワーも残っていない場合もあります。こうした場合、サンプリング用途でパフォーマンスが必要な場合、負荷の低いメモリ参照型を用いることができます」(成田氏)という選択が可能になった。

最新のFortiDB 4.0ではオーディット型とメモリ参照型の2つをサポートした(フォーティネット資料より)

 FortiDB 4.0では、違反の検知もほぼリアルタイムで実現できるようになった。「以前は取得したログのデータをいったん内部のDBに格納し、そこから再度取り出して、また結果を内部DBに戻していたんです。そこで初めて違反のアラートが上がるといった感じなので、余計なI/Oが数多く発生していました」(成田氏)とのこと。これは当初OracleとSQL Serverのみ対応だったが、その後対応DBを増やしたことで、スキーマ構造がいびつになり、DBごとに処理を行なう必要が出てきたことに端を発するらしい。これに対して、FortiDB 4.0では監査ログを直接メモリに展開して、怪しいかどうかを即座にチェックできるという。

UTMのおまけではない
フォーティの本気モード

 フォーティネットは今までUTMをメインに扱ってきており、FortiDBはあくまでおまけのように見えるかもしれない。しかし、同社はDBセキュリティが今後大きな市場になると見ており、日本では成田氏をはじめDBセキュリティ専属のメンバーを拡充した。また、ソフトバンクBBがディストリビュータとなったことで、販売体制も整えた。脆弱性診断に関しては、14日間ながらソフトウェアの試用も可能にした。内部犯の多い情報漏えい対策の切り札として、DBセキュリティの必要性を啓蒙していくとのこと。

 ターゲットはやはり金融機関で、すでに導入されているDBセキュリティの置き換えを狙うという。また、機密情報を扱う中堅中小企業でのニーズもあると見ており、MySQLなどオープンソース系DBへの対応はそのための布石でもあるようだ。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事