WLDCが目指す、年間1000万台のパソコン出荷
日本のPC普及は進んでいない、とバルマーが語る背景
2009年12月01日 09時00分更新
ドラえもんまで起用したキャンペーン
WDLCが行うキャンペーンの特徴は、業界の枠を越えた共同キャンペーンであると同時に、メーカー各社が前面に打ち出しがちな機能訴求は一切行わないという手法だ。
ユーザーがどんなことをしたいか、デジタルライフスタイルとはどんなものかを、「シナリオ」という観点から訴求し、そこに参加各社の製品やサービスを結びつけるというものだ。
いわば、「消費者視点での提案」(WDLC・堂山会長)というのがWDLCの手法だ。
その仕組みは、2009年11月25日からスタートした新キャンペーン「HERO★DADDY (ヒーロー・ダディ)キャンペーン」でも変わらない。
2010年3月31日まで行われる同キャンペーンは、年末商戦および春商戦向けの共同キャンペーンと位置づけられ、小学生以下の子供を持つ30~40代の約700万人のお父さんを対象に展開するもの。最新のハードやソフトを利用して子供の写真をよりきれいに残したり、タッチ機能といった新機能を使って簡単に写真加工を行い、年賀状を作成するといった使い方を提案。また、正月や卒業式、入学式などで撮影した子供の写真を、スライドビデオに加工したり、ビデオ映像の編集、ホームネットワーク機能を利用した映像共有などの利用提案を行う。
「仕事が忙しく、家族とのコミュニケーションが取れていない父親が、最新PCや周辺機器、サービスを活用するなど、デジタルの力によって、父親を頼りがいがある家族のヒーローになるというシナリオを提案する」(WDLC事務局長の笠原健司氏=マイクロソフトコンシューマー&オンラインマーケティング統括本部コンシューマーパートナー本部長)
というわけだ。
しかも、今回のキャンペーンでは、ドラえもんをイメージキャラクターに採用するという力の入れよう。参加各社の店頭POPでの利用のほか、ドラえもんを利用した無料の年賀状作成サイトも提供する。
期間中にキャンペーンサイトなどに75万ユニークユーザーを集客し、そのうち、約35%となる26万ユニークユーザーを、PCおよび関連製品、サービスの購入利用意向につなげるのが、今回のキャンペーンの狙いだ。
「シナリオ訴求は時間がかかるマーケティング手法。だが、着実に成果があがっている。日本の個人向けPC市場1000万台に向けて、業界の枠を越えたWDLCの活動は大きな効果がある」
と堂山会長は語る。
WDLCでは、2010年および2011年の活動として、改めてPCによるテレヒ視聴や、PCとテレビとの連動提案を進める考えだ。これらは、2011年7月の地上デジタル放送への完全移行をにらんだ施策となり、同時にコンシューマPC年間1000万台に向けた大きな仕掛けとなる。
WDLCの活動が、少しずつではあるが、年間1000万台市場に向けての大きな潮流になろうとしているようだ。
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