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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第97回

ケータイが支える、マイクロ化と遍在化するメディア

2009年11月30日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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文字から映像へ、メディアから人へ

 リアルタイムメディアについては、日本でも再び盛り上がり始めた。2009年の秋以降、GREEがPCサイトを「ひとこと」を前面に押し出してリニューアルしたり、サイバーエージェントが「アメーバなう」で参入を予定するなど、活発になってきている。

 海外の充実ぶりも目を見張る。TumblrというTwitter連携や引用がしやすいブログサービスは、Twitterなどがサポートブログのインフラとして活用している。シックスアパートのTypePadも「TypePad Micro」という、マイクロブログサービスを立ち上げ、日本からも利用できるようになった。

 テキストのリアルタイム・ソーシャルメディアが充実する中で、このカテゴリーは映像へと駒を進めている。Ustreamやニコニコ動画の生放送は、ウェブカムさえあればどこからでも映像の生中継を可能にする。

 いわゆる「ダダ漏れ」は最近ではブランド化し始め、企業を含めてイベントを開催するときに有名な「ダダ漏れ」キャスターを呼んでイベントのレバレッジを高めるといった動きが出始めている。つまりテレビで行なわれていたFOMA中継と同じような画質の映像中継を個人が行ない、1000人単位の視聴者を抱えてしまっているのだ。

ダダ漏れ女子

“ダダ漏れ女子”こと「トミモトリエ」さんのサイト。本名・勤務先・仕事の状況を初めとする本人の情報をすべて公開。空いた時間を売って、その様子をすべてブログ上で公開するということをしている。話題性も高くすでにダダ漏れ女子2号と呼ばれている人物も登場した

 テキスト、動画に限らず今まではメディアにブランドがあって人が関わっていた。しかしTwitter中継やダダ漏れの依頼は各キャスターに入る。つまり人にメディアが備わってブランドを形成するモデルに変わってきたということだ。もちろん同時に伝えられる規模はテレビの方が断然大きいが、誰でも出来る点は注目だ。

明日からできるケータイとマイクロメディア

 考えるべきは、生活の中のどんなシチュエーションで、個人がメディア化したり、そこで流れる情報が共有されるか。今後ユーザー主導でモバイルのインフラへのニーズを高めて行かなければならないが、そのニーズ喚起もユーザーの手で実現した方がいいのではないだろうか。

 そこにはすぐにケータイさえあれば試せるアイディアを考えることも、その1歩ではないだろうか。

 たとえば、結婚式のビデオメッセージを作りたい場合、今まではいちいちカメラを担いだ幹事が登場する人を撮影して回ることが必要だった。しかし今なら、ケータイで動画を撮影してメールで送ってもらえば、朝のニュース番組の中継をリレーするようなメッセージビデオが簡単に作れる。

 もちろん写真によるモブログやビデオログのような使い方をしている方も多いかもしれないが、ぜひケータイが作るコンテンツを集めたり共有したりしながら、自分の手元にあるメディアを充実させる経験をしてほしいと思う。

筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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