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エコポイントがある今こそ! 2009年冬 大画面テレビの買い方 第3回

大画面テレビの中心、液晶テレビを支える技術を解説する

2009年11月27日 16時00分更新

文● 坪山博貴

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これまでの液晶では夜景の画面でも
光を完全に遮断できなかった

 長い間液晶テレビの大きな命題とされてきたのが、ブラウン管やプラズマテレビに比較すると低い、コントラスト(明暗差)と黒の表現力だ。

 まず液晶テレビでは、プラズマテレビとは異なり画素自体は発光せず、バックライトの透過光量を画素(液晶)が調整する事で明暗差を作り出している。しかし、決まった方向の光しか透過しない偏向フィルターと、液晶分子の向きでバックライトの光の方向を変えて透過光量を変化させるという構造なので、バックライトからの光を完全に遮断するのは難しい。

液晶とプラズマ

プラズマは直接画素が発光しているのに対し、液晶ではバックパネルからの光を液晶とフィルターを用いて、透過させないことで画面を表示している。しかも光を完全に通過させないことは難しい

 これが液晶テレビでは完全な黒の表現ができないと言われてきた理由だ。また画面の輝度を上げるにはバックライトを明るくすることになるが、バックライトを明るくするほど黒も明るくなってしまう。

 対するプラズマやブラウン管では画素自体が発光するので、画素が発光しない状態では完全な黒が表現できる。また画面を明るくするために発光量を大きくしても、黒の表現力は変わらない。実際にはそこまで単純ではないのだが、プラズマテレビが液晶テレビよりも、コントラスト比が高く、黒の表現力に優れているのは事実だ。

コントラスト比の改善と
引き締まった黒を実現可能にする「LEDバックライト」

エリア制御

どうしても光が漏れてしまうこれまでの液晶では、夜景を完全に黒にすることが難しいが、LED+エリア制御でコントラスト比を高めることが出来る

 これらの課題を解決すべく、現在各社の高機能モデルを中心に採用が進んでいるのが「LEDバックライト」である。LEDは従来バックライトに使用されてきたCCFL(冷陰極管)と比較すると、寿命は同程度だが発色のコントロールが容易で、同条件であれば消費電力も低い傾向にある。

 さらに細身の蛍光灯のような構造のCCFLと比較すると小型で高圧部(インバーター)も不要なため、レイアウトの自由度が高く応答速度も速い。これらのメリットを活用し、LEDバックライトの導入とともに採用されているのがバックライトの部分駆動だ。

それぞれテレビの発表会で展示されていたサンプル。もちろん左がLEDで、右が冷陰極管だ。冷陰極管は見た目とおり蛍光管である

 バックライトの部分駆動では画面をいくつかのエリアに分割し、エリアの絵の明るさに応じてバックライトの明るさも変化させることで、明るいエリアはより明るく、暗いエリアはより暗く表示でき、コントラスト比を拡大した。これにより黒の表現力も格段に向上する。

 また画面に応じてバックライトの光量も変化するので、これまでの常時点灯していたタイプのバックライトと比較すると消費電力も抑えられる。液晶テレビの消費電力のうち、60~80パーセントはバックライトと言われているので、その効果は決して無視できない。

 実際には単純にエリアごとにバックライトの明るさを変化させるだけでなく、明るさの異なるバックライトのエリアの境目で違和感が出ないように画素の透過光量を変化させたり、バックライトの明るさに合わせて画素の透過光量を最適化するなど極めて複雑な処理を行なっており、画像処理エンジンの高性能化に伴って導入が可能になった技術と言える。

512分割

CELL REGZAの資料から。CELL REGZAでは従来100分割程度だったLEDバックライトのエリア制御を512分割にすることで画質を向上させている

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