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エコポイントがある今こそ! 2009年冬 大画面テレビの買い方 第3回

大画面テレビの中心、液晶テレビを支える技術を解説する

2009年11月27日 16時00分更新

文● 坪山博貴

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動画ボケを改善する「倍速」「4倍速」駆動技術

BRAVIA

他社に先駆け4倍速駆動の液晶テレビを広く投入しているのが、ソニー「BRAVIA」。液晶パネルと画像処理エンジンの両方の性能向上があってこそ実現が可能になった

 コントラスト比や黒の表現力と同様に、液晶テレビの弱点とされていたのが動画解像度の低さ、いわゆる動画ボケの問題だ。ブラウン管やプラズマテレビと比較すると、液晶テレビは動きの速い映像で見た目の解像度が低下しボケたように見えてしまう。

 実はブラウン管やプラズマテレビの画素の発光時間は1フレームの表示時間(たとえば秒間60フレームの映像であれば1/60秒)よりずっと短く、点滅しているような状態なのに対して、液晶テレビでは基本的に1フレームの表示時間ずっと画素が発光している。つまりは静止画が連続して表示されているのだ。

 これが静止画を表示している場合であれば、当然液晶テレビの方がちらつきを感じにくい。しかし動画の場合は、実際には連続した静止画として表示されていても、人間の目には自動的になめらなかな動きとして捉えてしまう。そのため実際には動いていない絵である1フレームの表示時間が長いほど動いている物体がブレて見えるのだ。

同じ絵を表示している時間を短縮することで
動画ボケを感じにくくする

 このような動画ボケの対策として早い時期に導入されたのが、液晶テレビでもプラズマやブラウン管のように1フレームの表示時間を短くする方法である。フレームとフレームの間に黒い画面を挿入したり、バックライトを消灯させる手法などが取り入れられた。ただしこの方法では、画面の明るさを損なうデメリットがある。

倍速駆動

倍速駆動の基本的な仕組み。元々の映像を解析して、中間的なフレームを作成することで、動画ボケを減らす

 そこで画面の明るさを損なわずに動画ボケを改善する手法として取り入れられたのが、本来毎秒60フレームの映像を倍速の120フレーム、さらに4倍速の240フレームとし、増加したフレームには本来のフレーム間をキレイに繋がるよう、テレビ内で生成した静止画を表示する。これが一般に「倍速駆動」「4倍速駆動」などと呼ばれている技術だ。動画ボケの原因は動いている物体が静止画として表示される時間の長さなので、この方法でも改善できるし、また画面の明るさが失われずに済む。

 倍速駆動や4倍速駆動の導入が最近になって登場してきたのは、まず応答速度の高速な液晶パネルが必要だったこと。さらに映像を解析して動画としてスムースに見えるように中間のフレームをリアルタイムで生成するには、高速な画像処理エンジンと大容量のメモリをリーズナブルなコストの中で用意する必要があったためだ。

 これらの条件が満たされたことで実用化が進んだわけが、量産効果で低コスト化が進むのが早いことも相まって、倍速駆動に関してはすでに多くの製品で対応するようになった。さらには画面全体のバックライトを消すのではなく、部分的に点滅させることで、明るさの低下を抑えながら動画ボケを感じさせないなど、新たな技術の導入も進んでいる。

バックライトブリンキング技術

バックライトのエリア制御と組み合わせて、画面の一部分を暗くすることで、画面全体の明るさの低下を抑えながら、動画ボケを抑えるという技術も登場している

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