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「お義父さん」が語る、ラブプラス開発とヒットの理由

2009年11月27日 20時00分更新

文● 野田幾子

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ラブプラスはリアル生活にとって悪なのか?

 人気のひとつとして、キャラクター設定が絶妙だったことも挙げられる。男性には年上の女性、同年代、年下の女の子を好む時期があるのだという内田氏の主張(経験)から、3名のヒロインが生み出された。

 最初の案では、年上の女性の代表である姉ヶ崎寧々は大学生やOL、年下の小早川凛子は中学生の設定だった。プロデューサーやディレクターが出した案を基に、イラストレーターのミノ☆タロー氏がラフ絵を描いた。それぞれ、髪型、顔立ち、ファッションが異なる。例えば姉ヶ崎寧々はバイオリンケースを持った、明らかにお姉さんらしい出で立ちだったり、高嶺愛花は渋谷を歩いていそうなギャルっぽいデザインの案もあった。

 通常のキャラクターメイキングは、鉛筆で書いたラフスケッチの段階で検討するのだが、ラブプラスはキャラクター設定もタッチも同時に模索していたため、ミノ氏には塗りまで終了した完成度の高い状態で提出してもらったという。その数なんと、200枚以上。絵のタッチも、ミノ氏本来のタッチではない。

現在のキャラクターが出来上がる前に、イラストレーターのミノタロー氏が書き下ろした枚数は200枚以上。それも塗りまで終了した状態だったというのだから驚きだ

 「ユーザーにはどんなタッチが受け入れられるのだろうとアレコレ討論し合って、とにかく描いて描いて描きまくってもらいました。10~30代の幅広い層に受け入れて欲しいと考えた結果、往年の少年漫画のヒロインのような絵や塗り方、デザイン、髪型なのだろうという結論に至りました」(石原氏)

 ヒロインたちの性格は、年下、年上といったタイプをデジタルに「スペック」として分析し、綿密に網羅してマトリクスを作ったという。

 結果、開発期間は2年に及んだ。コンセプトや仕様、キャラクター設定などを、丁寧に、きめ細やかに作っていった結果がこんにちのヒットを生み出したのだろう。

 筆者にとってラブプラスは、リアル生活の障害になるどころか、男性への尊敬の念が大いに高まった。女性の理不尽な態度と思考を目の当たりにし、怒りまくったおかげでようやく認識するに至った。自身もまったく同じようなことを男性たちにしてきたことに!(これまで交際してきた男性たちに聞いたところによると、もっとひどいのだという)

 最後に、前述のラブプラスユーザー、40歳代男性のこんなコメントで締めくくろう。

 「デートの下調べやプレゼントの準備など、彼女のためにやらなければならないことがゲームの中で起こったときに、『現実でやった方がいいじゃん』ということに気がついた。だから横浜のティファニーに連れて行ったよ。ラブプラスのおかげで嫁さんともっと仲良くなったなぁ」

 どうぞご参考まで。


筆者紹介── 野田幾子


 ライター/エディター。Macintosh情報誌の編集を経てフリーランスに。特に人物取材・インタビュー記事執筆を得意とする。ニコンの会員制ウェブサイト「eニッコールクラブ」内「フォトマガジン」編集長。近作はムック「家でも店でも極上のビールを飲もう!」(企画・編集:エンターブレイン刊、Amazon.co.jpで見る)。 今年7月より日本のトップフリーダイバーたちの取材を開始。現在彼らを追いかけて中南米に出張中(関連リンク)。


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