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正式版IEEE 802.11nの実力を検証!

公称168Mbps! AtermWR8300Nの通信速度は本物か?

2009年11月30日 10時00分更新

文● 遠藤哲

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カタログに偽りなし? 確かに高速なWR8300N

 ここまでWR8300Nの設定や特徴的な機能について紹介してきたが、最後に無線ブロードバンドルーターとしての性能(パフォーマンス)にふれておこう。

 WR8300Nの製品を紹介しているページでは、実効スループットを計測し、その測定環境や測定値を公開している。Webページに公表されている数値は、無線の実効スループットが最大約168Mbps、有線の実効スループットがローカルルータで動作した場合約808Mbps、PPPoEで約752Mbpsということだ。この数値はWR8300Nの性能を正確に測定するため、サーバ、WR8300N、クライアントの3つを接続した構成での実測結果である。

テスト環境。ここではFTPのスループットをみる

 疑うわけではないが筆者の自宅の環境で、どれぐらいのスピードがでるか計測してみた。恥ずかしながらだいぶ年数の経っているPCを使った計測環境なので、同社が計測に使用した機器よりパフォーマンスが劣る。そのあたりは差し引いて計測結果をご覧頂きたい。

 有線LANの計測はローカルルータモードで、300MBのFTP転送を10回行い、そこから最大と最小を除いて平均を出した。計測に使用したファイルサイズは同社の実測で使用していたものと同じサイズを意識したものだが、データの収集回数などそれ以外には特段の理由はない。

 有線LANの測定では、かなり旧式のPCを使ったにも関わらず、ダウンロードで777.77Mbps、アップロードでも736.29Mbpsのスループットが出た。

Gigabit Ethernet(有線LAN)の計測結果


コンパクトな内蔵型アンテナで、ロングレンジ設計

 IEEE 802.11nの計測は下図のような間取りでWR8300Nを和室に固定。各測定ポイントをサテライトマネージャでモニタして、おおむね受信強度が60dB、40dB、20dBになる場所を選定した。

各部屋の間取りと測定ポイント

 計測に使用したPCは有線の計測と同じものを使用し、無線LANはWL300NU-Gをクライアント端末に接続して使用した。

 無線LANの設定はデュアルチャネルを使う設定になっていたが、電波環境が悪く、自動フォールダウンしたようで、トレイアイコンのサテライトマネージャをポイントすると「速度150Mbps」と表示された。この環境では100Mbps以上の速度を期待できないと思いながらとりあえず計測してみた。その結果が下表である。

無線LAN計測結果

 いざ測定してみると受信強度が60dB近辺を指していた計測ポイント1で、ダウンロードにおいて100Mbps以上の速度を計測した。今回測定した中で唯一、WR8300NとWL300NU-Gが目視で確認できる場所で、直線距離にして約3.5mの間に何も障害物がないパターンである。

 受信強度が40dBの測定ポイント2でも、ダウンロードは60Mbps、最も受信強度が低い測定ポイント3でもダウンロードは29Mbpsであった。測定ポイント3では時折20dBから15~17dB(グラフ表示からみてそれぐらい)に落ちこむことがあり、トレイアイコンの電波接続状況の表示も黄色の“弱い”と青バー2つの“普通”の間を行ったり来たりすることもあった。

 ここまで電波の悪い状況でも30Mbps近い速度が出ているのだから驚きに値するだろう。参考までに無線LAN端末WL300NU-Gはそのままで、同じ位置関係でWR8300Nをだいぶ昔に購入したBUFFALOのWZR-RS-G54に付け替えてみた。サテライトマネージャの表示は黄色のアイコンで電波接続状況は“弱い”であった。本製品がセールスポイントとしてあげている電波が隅々まで届くロングレンジ設計を計測ポイント3で確認した格好となった。

 またこのグラフを見て気が付いた読者も多いと思うが、アップロードはダウンロードのおよそ半分である。製品の送信受信の仕様を確認すると、WR8300Nは送信、受信ともに2ストリームだが、WL300NU-Gは受信2ストリーム、送信1ストリームであった。クライアントからの送信は、WL300NU-Gの1ストリームでの送信となり、それが計測結果に現れている。

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